詩の世界に浸る
西 條 陽 之

 「生活の中で詩を楽しもう」(光村5年)では、教科書で取り上げられている詩やこれまでに学習した詩を楽しむ方法を考えることが活動として設定されている。子どもたちはこれまで、詩を暗唱したり、自分でつくったりする経験を積んできているが、既存の詩を生活の中で楽しめるようにするには、詩の面白さや味わい深さ、世界の広がりを実感する必要があると考えた。

 詩との出会いの工夫として、教科書冒頭のジュール=ルナールの「蛇」、まどみちおの「するめ」それぞれの題名をふせて提示した。
 「蛇」については「長すぎると言ったらコロナかな。」「夏休み?」などユーモアのある意見が出た。題名を知り、自然と「なるほど。」という声が漏れ聞こえてきた。作者がフランスの詩人であることを伝えると、タブレットを使ってフランス語に訳し直す子もいた。
 「するめ」については正解は出なかったものの、詩の言葉からヒントを得て、矢印の形、海に関係するものなど、多様な意見が出た。ただのクイズではなく、「どうしてそう思ったの?」とそれぞれの考えを拾い上げることで、詩の味わい方を示すことができた。
 比喩や対比といった表現技法に着目して面白さを解説する子も多く、5年生までの学びが積み上がっていること、そして、最高学年へと向かうにふさわしい成長した姿を垣間見ることができた。

 教科書の中のお気に入りの詩とその理由を発表したあと、図書室に行き詩集を借りることにした。ありがたいことに本校は詩集の本が充実している。この単元はしばらくお休みにして、朝の読書や空き時間にたっぷりと詩の世界を散策した後で、自分に合った楽しみ方を見出してもらおうと思う。
(大津市立小野小)