![]() ▼本書については日野剛広さんの「あとがき」に次のように分かりやすく説明している。「ブレイディさんの、当時中学生だった息子とのふれあいを通して、〈地べた〉の英国を一緒に見つめていく物語だ。世界の縮図と言われる所以の英国の貧困、差別、分散は様々な形となってブライトンでつつましく暮らす親子の身近にも忍び寄る」と分かりやすく説明している。中学生になった息子から差別や格差で複雑化した友人関係について相談されるたびに、「ようやくわたしの出る幕がきた」ととらえた日々の葛藤や息子との具体的な事例は、中学生の日常を色々と知ることができる。 ▼「頭が悪いってことと無知ということは違う。知らないことは知るときがくればその時は無知ではなくなる」という台詞がある。この考えのもと、様々な日常のできごとを体験し成長していく姿が印象に残る。 ▼思春期の子どもに対する対応や家庭教育のあり方、そして、多様な現代の教育課題について考える上で学ぶことが多い本である。 (吉永幸司) |