読み解く力の育成のために
川 端 由 起

 「読み解く力」が昨今、滋賀県で提唱されています。「読み解く力」とは、ご存じの方も多いと思いますが、例えば文章や図、グラフなどから必要な情報を取り出す力、それらを自分が持っている知識と結びつけながらより深く考える力、相手の言葉や表情から思いを感じ取る力のことです。

 滋賀の子どもたちの学力の問題。毎年文部科学省が全国の小6・中3生に対して行っている「全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)」では、滋賀県は小中学校とも全実施教科において過去6年間全国平均を下回り、全国的にみても下位層に位置しています。当校の国語平均は、今年は良かったものの、状況を考えながら解く問題は、平均点を下回りました。

 当校には、文を読み、図や表を見て、何が課題か素早く察知し、解き方の道を探り、課題を解決できる児童を育てていくのを目標にしました。  月に1回、「ともだちの日」というものがあります。これは、人権を大切にしようという草津市の教育方針のもと、本校で道徳的な価値を育てるのを目標としているものです。具体的には、道徳的な絵本を放送で人権推進の教員が読み、児童の心に問いかけ、道徳の心を作っていくものです。この放送を聞いて、感想を書くことで、読み解く力の育成を図ろうというこをまず目標にしました。あとは各学年で考え、実践しなければなりません。

 私は、今年度、「図書館で調べるコンクール」に、琵琶湖環境学習をテーマに子どもたちに書かせました。立派な出来からは程遠いものの、5月のフローティング、琵琶湖博物館の職員の方に来校してもらい、講話を聞き、夏休みに各自琵琶湖や琵琶湖博物館に行ってもらいました。実地体験を多くすることで、図や表を用いて、琵琶湖の環境のことを自分の想いと共に丁寧に書くことができました。

 反対に、2学期に入り、読書感想文を書かしても、自分の経験が、本の主人公の経験を超えられないと、中々良い読書感想文が書けないな、と気づきました。10月に入り、校外学習の作文を書いてもらい、全校集会の校長先生の話を聞いた感想を書いてもらいました。校外学習では、ヤンマーミュージアムに行き、創業者が大変苦労したことを多くの児童が書いていました。また、校長先生の話では、「大谷翔平」さんの話をされたのを、子どもたちは自分と照らし合わせ、「私も少しのことから努力したい」と書いている児童がたくさんいました。

 実際に見たり聞いたりしたこと、実地体験が多ければ子どもたちの経験値は上がり、それが文章にも反映されるのではないかと最近思います。学校は体験が多くできる場所です。校外学習みたいな大きな体験は年に2回ほどです。よって小さな体験でも大切にし、日々を大切に生きることで、読み解く力は向上するのではないかと考えます。

 学校にいる間、季節の移り変わり、これから行うお米感謝祭、5年生の音楽集会、調理実習、学級でのみんな遊びなどどれも作文の宝庫です。一つ一つに丁寧に目を向け、子どもたちの心を耕し、読解力の向上を図っていきたいです。
(草津市立志津小)