大 運 動 会
弓 削 裕 之

 今年度の運動会は、規模を縮小しての実施となった。各学年種目を二種目(短距離走、表現運動)に絞り、二学年ずつの三部制で行った。保護者には、オンラインで当日の様子を生配信した。一年生にとっては、小学校生活初めての運動会だ。「たったこれだけ」という思い出にならないように、振り返りも工夫せねばと思った。

 運動会のことを日記に書く時間。「運動会で、自分たちが出たものは何ですか」と尋ねると、「短距離走」「ダンス」と返ってきた。「他には」と聞くと、「開会式」「ラジオ体操」「閉会式」が増えた。今度は「運動会で、自分たちが観たものは何ですか」と尋ねた。「六年生の旗の演技」「六年生の短距離走」「応援したこと」という答えだった。すると、「出たもの、観たもの以外にもあります」と手が挙がった。そこで、「他にはどんなものがありましたか」と尋ねてみた。「高校生の応援」「衣装をつけたこと」「参加賞でもらった蛍光ペン」「先生たちががんばっていたこと」「人工芝で並んだこと」「練習をがんばったこと」「運動会の旗を作って飾ったこと」と話題が広がった。まだ手が挙がっていたが、「では、一番心に残っていることを書きましょう」と書く活動に移った。

○わたしはダンスがいちばんこころにのこっています。2きょくめはおかあさんがすきなきょくなのでげんきをだしてたのしいおもいでをつくりました。
○わたしのこころにのこったのは、はたのことです。わたしは、どこにはたがあるかさがしました。みつけたのでドキドキしました。はたがあったのでがんばろうというきもちがこころにつたわってきました。
○わたしがこころにのこったものは、六ねんせいのはたのえんぎです。なぜかというとばんというおとがきもちいいからです。
○たんきょりそうでAさんにまけたことはすこしびっくりしました。なぜかというとぼくがいっていたほいくえんは○○ほいくえんです。そしていちばんあしがはやかったのはぼくです。いつもともだちとこおりおにをやっていました。それでもがっこうにはぼくよりあしがはやいひとがいるなんてびっくりしました。

 そんなAさんは、日記にこう書いていた。

○ぼくは、一ばんこころにのこったのは、六ねんせいのたんきょりそうです。なぜかというとじぶんよりちょっとはやかったからです。

 上には上がいることを知った二人。小さな運動会だったが、一年生にとっては大きな経験になったようだ。
(京都女子大学附属小)