▼第103回全国高等学校野球選手権大会(夏の甲子園)において優勝した智弁和歌山高校。試合終了直後に「礼に始まり礼に終わる」と、宮坂厚希主将が述べているのを聞いていいチームだなと思った。なかなか言えない言葉だから。翌日の新聞で、中谷監督は、グランドにボールが一つでも転がっていれば、「ボールに気付けない選手は試合中に仲間の異変に気付けない」と雷を落とされたことがある述べておられることが記事になっていた。仲谷監督はかつて選手として智弁和歌山高校優勝に貢献している。

▼MLBのロサンゼルス・エンゼルスに所属して「二刀流」の選手として広く知られている大谷翔平選手は、道徳教科書の「夢を実現するためには」(光村6年)に教材として登場している。内容は、小学3年生のころから「プロ野球の選手になりたい」と言い続けてきたということと、「目標達成シート」である。高校時代に「ドラ一・8球団」(ドラフト1位で8球団から指名される)という夢をかなえるためには何をすべきかを書いている。その中に書き込まれているのが、「あいさつ・ゴミ拾い・本を読む・礼儀・感謝」の言葉。

▼大舞台における華やかにみえる活躍の背景に、共通するものとして人間力につながる言葉があることに気付く。あらためて感じた言葉の力である。   (吉永幸司)