「聴く」力を育む学校づくり 
箕 浦 健 司

 10月1日、この日の朝の学習の時間は、校長先生による校内放送。テーマは「『聞く』と『聴く』」。

 「みなさん、『聞く』という漢字は知っていますね。人の話は、何で聞きますか。そう、『耳』で聞きますね。あと、何がありますか。そう、話し手の方を『目』で見て聞きますね。もうありませんか。そうです。『心』です。話し手が伝えたいことは何なのかということを考えながら聞きますね。この目と耳と心、すべてが入った漢字があります。『聴』と言う字です。この漢字も、『聴く』(きく)と読みます。毎日、朝の会のスピーチの時に、この『聴く』ができている学級がたくさんあります。校長先生はとてもうれしいです。みなさんには、これから、この『聴く』を大切にして欲しいと思います。」

 コロナ禍で、授業中、机を寄せ合っての話合い活動は制限されている。しかし、この機会を逆に生かし、一斉指導の中で要点を落とさず聴く力、話し手の意図を考えながら聴く力を育てる取組を全校的に進めていく。

 1年生は、朝の当番のスピーチで、三文で話すことを決めている。このことを話し手と聴き手に意識させる取組を続けている。聴き手は指を折りながらスピーチを聴く。
 「三つあった。」
 「もう一つやで。」
 スピーチ後、聴き手からのつぶやきが心地よい。毎日繰り返すので、自然に聴く態度が身に付いていく。ここから内容に興味を向けるように工夫を加えていく。他の学年も、朝のスピーチは工夫して実施している。校長や教頭、教務部が朝に校舎を見回り、話す姿はもちろん、聴く子どもたちの態度についても褒める。子どもたちのやる気や良さを伸ばすことに繋げていきたい。

 4年生のある学級。道徳の公開授業があった。
 「○○さん。」「はい。」
 指名され立ち上がった友だちの方に、学級全員が体を向ける。もちろん、誰が発表するときも同じことが繰り返される。子どもたちは、うなずいたり、納得の表情を浮かべたりしながら友だちの発表を聴いている。その後、似ている、付け足しなどの関連した考えが発表される。聴いていなければ、発言がつながることはない。この授業では、担任が4月から繰り返し指導してきたことが成果として現れていた。授業後の研究会では、道徳の内容についてはもちろん、このことが話題となった。よい指導は、すぐ学校全体へと広めていく。

 国語科で聞く力を付けるにも、ベースとなるのはやはり学級経営、そして学校経営。教員が同じ目標をもち、一丸となって進めていきたい。
(長浜市立南郷里小)