「問い」を立てて考えよう 「ごんぎつね」
蜂 屋 正 雄

 問いを立てて、それをみんなで話し合う学習を計画した。そのためには、
〇問いを持てるようになること、〇その問いが話し合うに値する問いなのか、ということが課題になってくる。

〇問いを持てるようにするために、まずは、疑問を出し合った。初発の感想の中に、「?」と思ったことも書かせた。
 @言葉の意味がわからない。
 A設定がわかない。
 B登場人物の行動の理由が分からない。
という、疑問が出てきた。それが「問い」だと位置づけた。

〇問いの質を考える
 レベル1  友だちに聞けばわかる、または、本文を読んでも分からない問い
 レベル2  自分はこう思うけれど、みんなにも聞いてみたい問い
 レベル3  みんなで話し合ってみたい問い
 という3つの中で、自分の問いはどれに当たるのかを考えさせた。実際には、ピラミッドチャートに付箋で貼って、まずは自分で分類。その後、班で調整し、クラスで見合った。

 一番成果だと感じたことは、「読んでも分からない問い」に子どもが気付いていったことである。「どうしてごんは一人ぼっちなのか」といった設定に対する問いは解決しようがないこと。また、そういった疑問は「話の本筋とはかかわりが少ないかもしれない」と気づけた。
 また、レベル2以上の問いを考えていく中では、問い同士が関連していて、問いを解決していることですっきりしたり、理解が深まったりすることに気づいた。また、そうする中で、問いのレベルを理解していく姿も見られたこと。

〇児童の振り返り
・「ごんのしたことは神様のせいに思われていたけれど、それからもなぜ持って行ったのか。」というぎもんがとけた。わたしは、初めこの問いはレベル3だと思っていたけれど、班の意見では1、先生は2、話し合いの中で3に変わり、3→1→2→3になっていった。
・兵十とごんにとって、「あのときのうなぎ」への思いがちがったことにびっくりした。
・まさか、兵十・ごん・うなぎの問いでこんなにいろいろな事が分かるとは!ものすごくびっくり。
・答えがないという答えが出てよかったと思います。
・楽しかった、ぼくの問いは一つ上でもよかったと思いました。

 教材文を読んで「問い」をつくる。その問いを価値づけしてみんなで考えていく。という学習のパターンを一つ獲得できた。国語科以外でも、児童の問いから始める学習を深めていきたい。

【参考文献】 谷口映介(2019)修士論文「小学校国語科における学習者の「問い」を生かした授業づくりに関する検討」
(野洲市立北野小)