国語科における一人一台端末活用
谷 口 映 介

 一人一台端末の導入が進んでいる。本校国語科では、ノートや教科書、鉛筆と同じように、一つの道具(ツール)として捉え、教科内での主な活用方法として、次の五つの視点での活用を模索している。
A「発表ツール」…プレゼンテーションの作成・発表
B「記録ツール」…静止画や動画、メモを記録・保存
C「提示ツール」…静止画や動画など多様な情報の提示
D「共有ツール」…複数の資料を共有して交流・思考
E「検索ツール」…必要な情報を得るために検索 (出典:「日本教育新聞」2021年4月19日付)
 以下、実践の中での具体的な活用方法をいくつか紹介したい。

三年「こまを楽しむ」(光村図書)
【C「提示ツール」】
 「Air Drop」機能で、本文の「初め」の段落を送り、二つの「問い」を赤青の二色で色分けをした。この際、「マークアップ」機能を用いると、間違いを気にすることなく何度も試行錯誤をしながら線を引くことができた。そして、「中」を読む前に六つのこまの写真のみをタブレット上で共有し、 @どんな工夫があるか、Aどんな楽しみ方ができるかの「問い」に沿った観点で「答え」を予想した。子ども達は、写真に書き込みながら、「きっと、こう回すのだ。」「ここに穴が開いているから、音が鳴るに違いない。」等、タブレットの書き込みを見せながら交流していた。その上で本文を読むことで、説明の仕方や事例の順序に着目することができた。

【D「共有ツール」】
 事例の順序について考えるために、六つのこまを「回る様子を楽しむこま」と「回し方を楽しむこま」に分類する際に活用した。使用したのは「ロイロノート」である。付箋機能を使えば先に共有した六つのこまの分類作業が画面上で容易にできる。また、全員の分類結果を写真の一覧として提示・共有することも可能である。分類する活動の際には、文章に何度も立ち返りながら、こまを仲間分けする姿が見られた。同じ分類や異なる分類をした学習者同士で考えを交流していくことで、文章表現や「終わり」と「中」の段落のつながりを捉えることにつながった。

 タブレット端末の活用において重要なのは、あくまで国語科において身に付けさせたい資質・能力の育成を支援する一つの手立てとしての活用であり、使用そのものを目的化しないことである。学習者自身が主体的に選択・活用できるように実践を重ねていきたい。
(滋賀大学教育学部附属小)