主体的・対話的な学びを育む
三 上 昌 男

 新聞記事を読み比べ、書き手の意図を考える五年生の学習。
 新聞を定期購読されている家庭が減少する中で、児童が新聞を読むことに興味関心を持つことが、主体的な学びを育むために必要である。
 授業改善の視点として、次のようなことを大事にしたい。
■今までに新聞記事を読んだ経験や新聞づくりに取り組んだ学習、書き手の意図や表現の工夫について学んだ説明文の学習を想起できるようにする。
■教室や図書館で実際に新聞を手に取り、様々な新聞記事を読むことができる学習環境を整備する。
■児童が興味を持った新聞記事のデータを整理し、気に入った新聞記事を紹介したり、互いに読んで意見や感想を交流したりできるようにする。

 新聞記事は事実を中心に書かれており、結論を見出しで先に示し、リードから本文へと次第に詳しく記述していくという構成になっている。内容を的確に捉え、文章を関連付けて読みながら書き手の意図を推論する力を養うのに適した学習素材である。
 また、同じ出来事を取り上げた二つの新聞記事を読み比べることにより、共通点と相違点をはっきり捉えることができ、効果的に書き手の意図を読み取ることができる。

 本単元五時間目の授業を参観した学級では、担任の先生が四つの新聞記事を準備されていた。児童は、自分が最も興味を持った記事を一つ選び、「新聞記者になったつもりで、見出しを作る」学習に取り組んでいた。四つの新聞記事は、どれも児童にとって理解しやすく、興味を引く内容であり、児童は、手引き書「見出し名人への道」に示された見出し作りのコツに留意しながら、意欲的に取り組んでいた。
 同じ記事を選んだグループで、見出しを交流することになった。授業者は、「この記事は、○○を伝えたいから、△△という見出しを付けた」という話型を示して交流を促された。本時は、児童が友だちとの交流を生かし、個々に自分の見出しを練り上げる学びを目指して展開されていた。

 授業後の研究会では、「書くこと」を生かし、主体的・対話的な学びを育む指導の在り方を協議された。
 対話的な学びを育むためには、「考えの根拠や理由を引き出す質問」を大事にしたい。見出しのもとになる具体的な文や言葉、写真との関係について、個々の考えを引き出す質問ができる児童同士の関係を築きたい。根拠や理由をはっきりさせることは、筋道立てて考え、自分の考えに自信を持つことにつながる。このような指導により、見出し作りを通して書き手の意図を考える学習を深めることができる。
(滋賀県総合教育センター)