事実にもとづいて書かれた本を読もう・本を読んで感想を持ち、紹介しよう
蜂 屋 正 雄

 「ランドセルは海を越えて(光村図書・四年)」では、ノンフィクションの本を読み、紹介するという学習を行った。
 校内研究では「考えることを楽しむ子ども」の姿を目指している。国語科の学習では、文章を読んで感想や思いを持ち、話し合う中で作品への理解を深めていきたい。しかし、「自分の思い・感想」を持てない(書けない)児童がいる。初発の感想や学習後の感想を書く学習を重ねてきたが、苦手な子ほど「答え探し」をしていることに気づいた。自分がどう感じたか、どう思ったかに「正しい答え」はない。本単元では読書につなげる学習でもあり、どのような感想を持ってもいいという立ち位置から、誰もが感想を持てるようにすることを目標に学習を進めた。

 まず、本文で気になったところはどこなのかが目で見てわかるように、線を引きながら読むことにした。
 次に、線を引いたところを元にどうしてそこに線を引いたのかを書く。という順番に自分の思いを文にさせようと試みた。

 まずは、線を引けるように
 「三色ボールペンで読む日本語」(斉藤孝著)を参考に、文章を読むときに三色に色分けをして銭を引く読み方に取り組んだ。大切なことばを青線、一番大切なことばを赤線、個人的に面白いと思ったところに緑の線を引きながら文を読む。
 児童は、線を引き、また、友だちが引いた線を見ながら、青線や赤線は似ているところが多いことを確かめるとともに、赤線でも人によって違うこと、また、面白いと感じるところはそれぞれであることを知った。ここでは、教科書をタブレットで写真に撮り、全員の線の色が人それぞれであること、少し似ているところもあることが視覚的にも確認することができた。

 線を元に感想を書く
 「正解」を答えようとする児童は、正解は必要ないことを実感するとともに、自分と同じところに線を引いている友だちの感想を参考に書くこともできた。
「アフガニスタンでは、子どもも大切な働き手、学校に行けるかは家の事情で変わってくる。」に赤線を引いた児童は理由に、
「家を代表して学びに行く、また、家で先生をしているのかな。そのためのランドセルだと思ったから。」
と書くなど、書くことが苦手な児童も自分の引いた線を元に考えたことを書き、「ランドセルは海をこえて」の紹介文をまとめることができた。今後はそれぞれで読んだ本をビブリオバトルの形式で紹介してく予定である。正しい答えを求めて立ち止まるのではなく、まずは、自分の考えを書き残す学習を重ねていきたい。
(野洲市立北野小)