「あさがお かんさつにっき」より
弓 削 裕 之
今年は一年生を担任している。以前、アサガオの観察カードに大切なことを学んだ経験がある。双葉の絵を描く事前指導として、「よく見て描きましょう」「見たままに描きましょう」などの指示をすると、できあがった観察カードは、細部まで詳しく描かれた植木鉢の絵になった。「何を観察するのか」を明確に伝えなかったから、子どもたちがめあてを見失ってしまったのだ。一年生の言葉で言うと「今日の主役は誰でしょう」ということになる。とにかく手立てが必要だった。今年は、大きな植木鉢の絵と大きな双葉の絵を見せて、「どちらが双葉の日記でしょう」と比べさせた。子どもたちはすぐに、「ひとつは植木鉢さんの日記です」と気づいた。観察カードには大きく描かれた双葉の絵があり、根元の色の違いも塗り分けられていた。 気づきを書かせる際も、「ポイントをしぼるといい」と先輩に教わった。一行目は、目のマークを描いて「見たこと」について書く。二行目は、手のマークを描いて「触ったこと」について書く。三行目は、ハートマークを描いて「思ったこと」について書く。カードを書く前に、葉がどんな形をしているか子どもたちに聞くと、「〜みたいな形」という表現がたくさん出てきた。そこで、「見たこと」を「〜みたい」という言い方で書くことにした。 ・りぼんみたいなかたちです。つるつるしていました。とてもきれいでした。 ・ちょうちょうのはねみたいです。ふわふわしていました。おおきくのびるといいです。 ・はっぱがハートみたいなかたちです。つるつるでちょっとざらざらでした。とてもきれいでかわいいです。 ・はっぱがすべりだいみたいです。ちょっとざらざらしていました。きれいにそだってほしいです。 ・かたつむりのおうちで そのやねみたいです。つるつるしていました。こんなにのびていてとてもうれしいです。 ・はっぱがおしりみたいなかたちでした。つるつるざらざらしていました。いままで、じゅんちょうにそだってくれてうれしいです。 ・はっぱがかさのかたちみたいです。つるつるざらざらしていました。あさがおが、こんなにせいちょうするとはおもいませんでした。 ・ちょうちょうとズボンみたいです。ずるずるもしてさらさらもしていました。きれいなあさがおになってほしいです。 朝、教室に入ってきた子どもたちのトップニュースは、アサガオさんのこと。 「はっぱがすごくおおきいです。みにきてください。」「くきがのびてきました。もうたおれそうです。」「アサガオさん、のどがカラカラっていってました。」「むしさんがいました。だいじょうぶかなぁ・・・。」「せんせいのはげんきがないですね。どうしてですか。」 先生のアサガオさんは、愛情が足りないのかな。みんなみたいに、毎日がんばって水やりをしますね。 (京都女子大学附属小)
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