「学ぶ力」向上の取組
箕 浦 健 司

 本校は、朝の学習の時間(八時二十五分〜四十分の十五分間)のあり方を、前年度の反省や児童の実態を踏まえ、毎年見直しを行っている。その中で、子どもたちの語彙を増やすため、今年度から以下の取組を行っている。

 昨年度、職員作業で校舎内の階段の一段一段に、ことわざ・四字熟語・慣用句を意味と共に示したカードを貼り付けた。子どもたちが朝の登校時や休み時間など、階段を上る際に目にし、「言葉」を意識して生活できるようにするためである。今年度は、掲示してある言葉を冊子にまとめ、全校児童に配付した。これは卒業まで持ち上がる。学級担任は、朝、翌日の連絡と共に、一つ言葉を選んで板書しておく。子どもたちは、連絡帳を書く際に、板書された言葉を視写する。例えば三年生は、連絡帳を書いた後、国語辞典等で言葉の意味を調べる。朝の会の「先生の話」の際に、調べて分かった意味を発表する。毎日続けることで、子どもたちの語彙を増やしたい、習慣化したいと考える。また、月末には、「校長先生からのお題」として、一つのことわざや四字熟語を提示する。各学級で、示された言葉を使った短文作りに取り組み、代表作品を職員室前の掲示板に掲示する予定である。以下、ある学級の朝の様子。

  (登校し、朝の準備を終え、連絡帳を書く。)
「あ、今日の四字熟議は『一き一ゆう』やな。」
「どういう意味なんやろう。」
(連絡帳を書き終えた人から、国語辞典を用意する。その後、朝の会。)
「今日の四字熟語は、『一喜一憂』です。どんな意味ですか。○○さん。」
「はい。ある物事の様子が変化する度に、喜んだり心配したりすることです。」
「そうですね。『喜』は喜ぶ、『憂』は心配する、という意味があります。では、どんなときに使うのでしょう。」
「ゲームで勝ったり、負けたりしたとき。」
「サッカーとか、ドッジボールとか。」
「そうですね。学校やお家の生活で、『一喜一憂』していることって、結構ありそうです。身近な言葉なのですね。」

 学級によっては、黒板に言葉だけ示し、休み時間に、どこの階段に貼ってあるかを探すよう促すこともある。休み時間が終わり、戻ってきた子どもたちは、
「先生!南校舎の二階に貼ってあったで!」
などとうれしそうに報告している。都合で見に行けなかった友達もいるので、調べてきた人が発表してその意味を全員で共有する時間をとる。

 このように、学習環境を整備し、取組を工夫することで、子どもたちが主体的に学び、語彙を増やしていけるよう、日々の積み重ねを大切にしていきたい。折を見て、各学年の取組状況を交流する場を設けるなどして、学校全体で進めて行きたいと思う。
(長浜市立南郷里小)