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弓 削 裕 之

 今年度は、一年生を担任させていただくことになった。京女小学校の一年生は、毎年「親子日記」に取り組んでいる。「親子日記」とは、一年生が書いた絵日記に、保護者、担任、校長でコメントを書く取り組みだ。まだひらがなを習っていない時期の日記は、保護者の聞き書きでもよいことにしている。

 先日、バス停までお迎えに来られた保護者の方と話をしていた時、親子日記の話題になった。「同じ出来事について書いていても、子どもによって選ぶ話題が違う」という話になり、ふと「これまでの日記には、どんなことが書かれていただろう」と気になった。職員室に帰ってから、さっそく保存していた過去の親子日記を開いてみた。

〈入学式の日記より〉
○きょうは、たのしみなにゅうがくしきです。おかあさんおとうさんは、おめでとうといってくれました。
○にゅうがくしきのいきしのバスていでAちゃんとおともだちになれてうれしかったです。
○らんどせるをせおっていくのがたのしみでした。くつばこをさがすのがたいへんでした。
○にゅうがくしきのひ、いいてんきで、チューリップと がんせき(岩石)がきれいでした。
○ゆげせんせいがたんにんのせんせいでうれしいです。こくばんがとてもすてきでした。
○ひとがたくさんいてびっくりしました。どきどきしたけどがんばったよ。
○わたしは、にゅうがくしきでおおきなこえでおへんじをしておかあさんにほめられました。
○もんで ふじのこちゃん(京女小のキャラクター)がいてくれたのでうれしかったです。おうたがとてもきれいでした。
○おねえさん おにいさん ろくねんせいになりたいです。だってとってもかっこよかったからです。

 同じ入学式を経験していても、子どもがトップニュースとして切り取る場面はそれぞれ違っている。多くの子は、いきなり鉛筆を持って一人で書いたわけではないだろう。家庭での会話が聞こえてきそうな、あたたかい日記ばかりだ。

 コロナ禍ということで、今年も在校生の参列はなかった。一年生と手をつないで入場するはずだった六年生が、代わりに何かできないかと、折り紙で桜の花を折り「にゅうがくおめでとう」「ようこそふしょうへ」「いっしょにがんばろう」などとメッセージを書いてくれた。その桜は入学式の日に一年生の机の上に置かれ、ドキドキしている新入生の心を和ませた。さらに、担当の先生の計らいで一年生の胸ポケットにしまわれ、一緒に入学式に参列することができた。きっと今年の日記には、六年生がくれた桜の花が登場するだろう。日記が提出されたら、六年生にも紹介しようと思う。昨年、五年生で担任をした子どもたち。少し照れながらうれしそうに笑う表情が目に浮かぶ。
(京都女子大学附属小)