卒業文集「書くこと」の集大成
杉 澤 周 一

 市内の小学校の幾つかを担当し、授業を観て気づいたことを伝えて三年目。昨年度末とこの新学期に卒業文集について六年の担任と話し合った。一年を通して卒業文集づくりを進めてみてはどうかと。  一つには、学校生活を書くことでふり返り、大切にするため。また一つには、卒業文集を国語科「書くこと」の力の集大成と捉え、付けてきた力を発揮して学びの成果を示し大切にするため。
 綴じるのは、六年の教科書で学習する際に書くものから選択。教科書以外で、六年間をふり返り書き残したいもの。これらを年間を通して計画的に位置づけ、基礎基本、および五・六年の目標・内容に照らし、付けてきた書く力を発揮する機会に。また、個々の子どもに不足があれば力を補う機会に。この意義を教師と子どもたちとが共有し目指す。例は次の通り。

【書くことの力】
 学習指導要領から引き出したキーワード。文集を書く際のチェック項目として示す。
[一・二年]・語と語や文と文の続き方 内容のまとまり ・順序
[三・四年]・考えと理由や事例・内容の中心 段落分け
[五・六年]・簡単、詳しく 事実と感想、意見 引用 図表やグラフ等 ・筋道
[基礎基本 情報活用能力]
 ・主語述語 ・接続詞 ・「 」
 ・はじめ 中 おわり
 ・相手や目的、意図に応じて、選択、分類、関係付けにより伝えたいことを明確に。

【綴じるもの 六年の教科書】
 ・物語文(物語学習のどれか一つか最終教材の感想、或いは読書感想文コンクール作品)
 ・意見文(説得力) ・詩や俳句、和歌の創作作品

【綴じるもの 教科書以外】
 ・お気に入りの場所(校舎・校庭) ・ホットメッセージ(級友相互に素敵な面や感謝を。家族にも。) ・自分の成長(キャリア教育)一年、四年の自分と比べて ・ある日常の一コマ(授業編・学校生活・活動編 家庭、他編) ・行事作文 ・各学年の思い出(やった 大失敗 笑顔 涙 等) ・図工や家庭科、書写作品の説明や自己評価、各教科、特別活動等で書いたもの(これらを清書しその都度,ファイルに貯めて三月に製本。学級共通の頁と合本もできる。)

 各学年末の文集にも応用できる。
 一年を通し、大切な文集に残すつもりで授業に臨むと授業を大切にするのでは。授業以外の題材では自分やまわりをふり返って何らかの価値づけをし今後の成長につなぐかもしれない。これらにより、書くことのよさを自覚し、書いておきたくなる、書くことを厭わなくなる素地ができるかもしれない。学びに向かう力の醸成でもあるか。このような願いもある。
(東近江市教育委員会学校教育課)