思い出を言葉に
北 川 雅 士

 3月に入り、いよいよ卒業がせまってきた。6年生では『思い出を言葉に(光村6年)』の学習で、小学校で印象に残った出来事を書いて表現する学習に取り組んだ。

 導入では、小学校生活で「書いた」ものをみんなで出しあい、黒板に板書していった。日記、俳句、短歌、詩、リーフレット、報告書など言語活動で取り組んだ様々なものが出された。それぞれがどういうことを書いたのかを思い出しながら。卒業文集で作文は書いたので、この単元では、詩・俳句・短歌の中から形式を選び書くことにした。学習の流れは、
 @ 学習のゴールを共有し、取り上げる出来事を決める。
 A 書く形式を決め、出来事についてくわしく思い出す。
 B 表現を工夫して書く。
 C 作品を読みあい、感想を交流する。

 この学習では、「比喩表現を取り入れる」「言葉や文の順序を変える」「言葉のリズムを整える」ことを目標に設定し、表現の工夫にこだわり、作品を作っていった。年間を通して取り組んでいる俳句の積み上げもあり、児童たちは表現の工夫を楽しみながら書いている姿が見られた。空の青さをどう伝えるかだけでも青いものを挙げながら自分の心に残っているその時の空にふさわしい表現を探している様子が見られた。できた作品が「団体演技」である。

   団体演技
 すなぼこりが まっている 海のような青空だった 太陽が私たちを見守っていた
 曲が始まる きんちょうがパッと消えた そしてあっというまに十分がたった
 終わったとき 私は大人までの階段を 少し上ったように思えた

 また別の児童は、赤白帽子と緊張して赤くなった自分をたとえて「ひときわ赤いりんご」という詩を作った。

   ひときわ赤いりんご
 運動場でしめくくる ひんやりとしたアセおちる ひときわ赤いりんごある
 しずまりかえった 運動場 小さな声がこだまして みんなの手と手 合わさって
 青空のした 赤くなって かんげいしてくれる 運動場

 この児童は俳句を作る際にも、リズムや韻を踏むことにこだわった作品を書いている。あと1週間で卒業をむかえる6年生の児童たちだが、これからも自分の言葉で表現する楽しさを忘れず、豊かな言葉の使い手になってほしいと思う。
(彦根市立城南小)