近江の子ども俳句教室〈投句部門〉〜3162句の感動〜
好 光 幹 雄

 NPO法人現代の教育問題研究所主催、令和2年度「近江の子ども俳句教室〈投句部門〉」の報告です。(学校名略)

大津市長賞    きものきてモデル気分の七五三  1年 山下凜夏
 ◆七五三に、とびきりかわいく、すてきなきものを着ている姿と、にこにこしているまわりの人たちの様子を想像しました。その時の気持ちを、「モデル気分」という言葉であらわしたかっこいい作品です。(吉永幸司)

草津市長賞   さんぽ道コスモス見つけたおともだち  2年 小島翔大
 ◆散歩は楽しいですね。見慣れている景色の中にもいろいろな発見があります。友だちがコスモスの花を見つけ、教えてくれたのですね。友だちと一緒にコスモスの花をながめ、話がはずむ様子が目に浮かんできました。(三上昌男)

大津市教育長賞(以下、評略)   たこ上げだどこまでとばすかきょうそうだ  3年 志村快之助
草津市教育長賞   うちの犬初めての冬こせるかな  5年 綿田凛人
草津俳句連盟会長賞   名月に虫飛んでゆくシルエット  6年 中清水初奈
NHK大津放送局長賞   息白しシャトルが飛び交う体育館  4年 青柿心優
BBCびわこ放送賞   毛糸あむ父のマフラー三年目  3年 松岡梨華
FMおおつ賞   ふかふかの空の海で泳ぐいわし雲  4年 二見英嗣
えふえむ草津賞   サンタさんそりのうしろにほしがある  1年 北山陽葉
京都新聞賞   湯たんぽがあったかいお湯ぽぽぽぽぽ  4年 勝山世名
中日新聞社賞   満月を見ながら猫も丸くなる  6年 加茂野菜桜
読売新聞大津支局長賞   帰り道近くの家に寒椿  4年 城茉柚花
毎日新聞大津支局長賞   マラソンだ! とうちゃんかあちゃん見に来いよ!  3年 山下大凱
朝日新聞大津総局長賞   ジャンバーでランドセルがせおいにくい  2年 佐藤想太
産経新聞社賞   さざんかの花びら水面にあそんでる  5年 伊藤羽菜
NPO法人現代の教育問題研究所賞   木枯らしが早く帰れと背中押す  6年 片山史桜

 応募句総数3162句。大賞16句。入選123句。詳しくは当NPO法人のホームページをどうぞ。
 バーチャルな世界が広がり、今の子どもは肌身を持って体験するという機会が昔に比べて少なくなっているような気がします。私が子どもの頃は、夕方暗くなるまで野原で遊び、遅く家に帰ってよく母に叱られたものです。しかし、その頃の夢中になって自然の中で友だちと一緒に遊んだことが、大人になってからの私を支えてくれたのではないかと思うようになりました。ノーベル賞受賞者の多くが、その神童ぶりを語るのでは無く、子ども時代の素朴なそれでいて豊かな体験をしたことが人生の大きな宝物であるという話をよくします。俳句を詠むということは、ある意味で、そんな貴重な体験を言葉を通して表現することで、体験を意味づけたり価値付けたり、そして自分の財産として残すことに繋がっているのだと思います。つまり、単に体験をするだけでは無く、体験を言葉によって、言葉を通して人生の掛け替えのない経験としているのです。子ども時代は単に大人になるための準備期間ではありません。子ども時代を豊かに生きることこそが、豊かな大人になることだと私は思います。
 ですから俳句も細かな形式にこだわらず、どうぞ自由におおらかに詠ませてあげてください。そうすることで子どもたちの心と感性がぐんぐん伸びていくことと思います。最後に、ご後援をいただいた滋賀県知事様をはじめ、多くの皆様に深く御礼申し上げます。深謝。
(立命館小)