思い出を言葉に
箕 浦 健 司

 「思い出を言葉に」(光村 六年)
 卒業が間近に迫ってきたことを実感する二月となった。一人ひとりがカウントダウンカレンダーを作成し、教室に掲示している。二月十七・十八日には、小学校生活最後の学習参観が実施される。「小学校生活で一番の思い出を、詩・短歌・俳句に表して、お家の人や友達に伝えよう」を単元目標に、学習をスタートした。
 本単元の指導事項は、
 ◎目的や意図に応じて、感じたことや考えたことなどから書くことを選び、伝えたいことを明確にすることができる。
 ◎作品全体の構成や展開が明確になっているかなど、作品に対する感想や意見を伝え合い、自分の作品のよいところを見つけることができる。

 「書くこと」については、互いの作品を読み合い、よさを伝え合う活動を大切にしてきた。本単元においては、参観での発表を告げたときは、「えー!」とお約束の反応が返ってきたが、子どもたちはすぐに集中し、取り組み始めた。俄然気合いが入る。「最後」という言葉は、子どもたちの集中力を一層高めるようだ。

 今回一番のポイントは、「伝えたいことを明確にする」こと。そこで指導者として大事にしたのは、「何について書くか」ということを確認する際、行事等ではなく、伝えたい中心として考えられることは何かということを話し合ったことである。教科書の例は、六年生になり、参加した入学式で一年生と手をつないだときに芽生えた最高学年としての「自覚」であった。他にどんなものが考えられるか。子どもたちからは「達成感」「満足感」「友情」「努力」「喜び」等の意見が出た。

 四年生のやまのこ、五年生のうみのこ、六年生の修学旅行、または運動会。これら大きな学校行事は、子どもたちの心に強く残っている。実際にこれらの行事で考えた子どもは多かったし、伝えたいことの中心がはっきりしていれば、何について書いてもよいのだが、今回、「伝えたいこと」についての話し合いで視点が明確になったことで、特別な行事ではなく、日々の努力やその成果について書こうとする子どもが多かったことが、個人的に嬉しかったことである。
 以下、子どもの作品。


・話し合ったよ 班のみんなで 問題が解けなくてつまったとき 話し合ったよ 班のみんなで 問題が解けたよ 
 難しくても 話し合って解いていけばできる もっと話し合って問題を解いていこうと 決めた

・四年生までは テストの結果が悪かった でも今は とてもよくなっている テストの結果が それは テスト勉強を
 がんばったから とてもがんばった これからも 中学生になっても 努力を 続けようと決めた


 前者の伝えたいことの中心は「協力」。一人ではできないことも、友達と協力してできたことが一番の思い出。後者は「努力」。信念をもって続けた自主学習が結果に結びついたことを伝える詩。反復やリズムの工夫なども取り入れた。最後の参観当日の発表が、とても楽しみである。
(長浜市立南郷里小)