「人類の宝」の解説文を書こう
箕 浦 健 司

 「『鳥獣戯画』を読む」「日本文化を発信しよう」(光村六年)。本単元で設定した指導事項は、B書くこと
 ウ 目的や意図に応じて簡単に書いたり詳しく書いたりするとともに、事実と感想、意見とを区別して書いたりするなど、自分の考えが伝わるように書き表し方を工夫すること。
 エ 引用したり、図表やグラフなどを用いたりして、自分の考えが伝わるように書き表し 方を工夫すること。
である。

 高畑氏が「人類の宝」と評する「鳥獣戯画」とは。自分もその良さを解説する文を書いてみよう!と学習活動がスタート。まず、自身の書く活動に生かすため、教科書教材「『鳥獣戯画を読む』」で、筆者である高畑勲氏の文章表現の工夫を学ぶこととし、以下の学びを得た。
・体言止め(リズムが生まれ、テンポがいい。読みやすい。)
・呼びかけの表現(「ページをめくってごらん」「今度は君たちが考える番だ」等。読者の興味を引くことができる。)
・実況中継(「はっけよい、のこった」臨場感がある。読者を引きつける。)
 また、鳥獣戯画の良さを伝える工夫として、
・具体例(具体的な絵)を示しながら、その良さを語る。
・絵に描かれた事実、それについての自分の考えや評価を書く。
ことなどを学んだ。評価の言葉としては、
・見事である ・実におもしろい ・すばらしい ・いきいきしている ・動きがある ・気品がある 等。
 解説文を描くための工夫を学んだ後は、自分が解説する場面を選んだ。まずは、その絵を中心に置いたワークシートに、@事実、A自分の考え・評価を色別の付箋に書き込んで貼り付けた。次に、それをもとに下書きをして、友達同士で読み合い、よい点(青)と改善点(赤)の付箋を互いに貼り合った。

 以下は、子どもたちのアドバイス例。
「『〜の絵を見てみよう。』など、絵に注目させる表現を入れた方がいいと思います。」
「この場面の評価の言葉としては、『気品がある』などはどうですか。」
もちろんよい点も十分に伝え合い、清書にうつった。
 もう一つ。自分の解説する「鳥獣戯画」の一場面は、コピーではなく、濃淡二種類の墨で、細筆を使って自分が描いた絵についての解説文を書くということで、学習意欲は俄然高まった。
「『鹿いるかい。一頭三両ですよ。』兎が鹿を引き連れて、猿たちに商売をしている。そして猿たちはその鹿が欲しいのか、一匹が手を伸ばしている。周りの猿たちも『鹿だ、鹿だ。』と興奮しているようだ。
 墨一色だけで描かれ、見事な筆遣いで動物たちを表現している。これは、平安時代に作られた、『鳥獣人物戯画』の一場面である。ではまず、鹿に注目してみよう。・・・(中略)・・・猿の着物に注目すると、しわなど、すごく上手く表現されているね。見ただけで着物だと分かるのも、実にすばらしい。」
(長浜市立南郷里小)