教 室 づ く り
西 條 陽 之

 コロナ禍の今、学習のスタイルが制約を受ける中でも、目指すべき子どもたちの最終的なゴールは「教師の手から離れても、自ら学ぼうとする人」になることだと考える。子どもが自ら思考し、判断し、表現する、対話的な学びのために教室掲示の実践を報告する。

 各教科の大切な言葉を「学びスキル」としてカードにして、壁面掲示に蓄積している。例えば、国語科の説明文の学習ならば「構成」や「はじめ・中・終わり」、算数科ならば「1000m=1km」、「分母と分子が同じ数のとき、1になる」というように、覚えておくべきこと、これからも役に立つであろうことを残すのである。

 教室掲示は学びの足跡であるとともに、学びの手がかりにもなる。特に、国語で学んだことは他教科においても生かされる場面が多々ある。教科書から読み取った知識・技能と既習の学習を照らし合わせることで、子どもたちは自ら思考し、判断することができる。学習の振り返りや新しい単元の始まりには、壁面に目を向ける子どもが増えてきた。学びスキルの導入時には、教師主導で言葉を選んでいたが、少しずつ主導権を子どもたちに移譲している。学習の途中に「これって学びスキルだよね」と見極めたり、学習の終わりに「?ついて、学びスキルを書いてもいいですか」と自分の言葉で学んだことを表現したりする姿も見られてきた。学びスキルがある程度溜まってきたら、分類していく。話し合い、書くこと、読むことの中の物語文、説明文、など細分化、グルーピングを行うことで、これまでの学びの整理にもつながる。教室の主役はいつでも子どもたちである。学びの連続性に気づきつつある彼らと、これからも言葉を紡いでいきたい。
(大津市立小野小)