根拠を意識して音読劇を 家庭でできること、学校ですべきこと
蜂 屋 正 雄

 2年生の物語文「お手紙」(光村)では、音読劇が出口として示されている。昨年の末から1学期まで、学級での音読を控えていたせいか、2学期に入り、少し学習方法が緩和されてきても、音読の声が小さい。また、個別の学習が多かったこともあり、友だちの意見や考えを聞いて自分の考えを見直すというような機会も少なかったように感じていた。
 そこで、まずはスラスラ音読できるようにすること。また、あらすじを理解し、喜怒哀楽の根拠を意識しながら音読劇ができることをめあてに、単元を考えた。

 まずは、音読。コロナ禍以来、「音読は宿題で」という雰囲気が強くなってきていた。しかし、まずは正しく音読できることが学習への一歩である。実際、休校中に宿題にした漢字と音読も、出来具合や理解度があまりにバラバラであり、教室で一からやり直した。音読は学校でしっかりと取り組みたいと改めて思わせられる年はじめであった。
 今回は「間違うまで読み」と銘打って、一斉学習の場で間違えるまで読むというもの。一言一句間違えないようにどこまで読めるかを楽しみながら「正しく読めるように」と音読に取り組んだ。はじめは、クラス全員に回っていた音読も、すぐに十数人で読み終わるようになっていった。読みの確認ができたころに、班での音読、ペアでの音読と一人一人が読む密度を上げていった。

 根拠を持った話し合い活動。
 音読をしながら、初発の感想、登場人物の特徴、挿絵はどこからどこまでにあたるのか、あらすじなどについて、意見を出し合いながら、「それは本文のどこからわかるのか」を問い続けた。
 2年生という、恥ずかしさを感じることの少ない学年うちから、意見を言うことや意見が受け容れられることの心地よさを十分に感じさせたい。しかし、コロナ対策の一斉学習を続ける中で、話し合いのない気楽さに大人も子供も甘えてしまっていると感じていた。発表に勘違いはあってもまちがいはないこと、違う意見から深く学びあえることを体感させたい。
 そのために、話のカギになるところについては、たくさんの子どもに何度でも考えを言わせた。「ど うして、かたつむりくんにたのんだのだろう。」「四日もかかって、がまくんたちはおこらなかったの かな。」といった、初発の質問に対して、かえるくんはとっても急いでいたことに気づいた子の意見から、たくさんの根拠が出された。言いよどんでいる子にも前の人と同じでもいいので、もう一度言わせ、話し合いに参加させた。手をあげる子を指名するのはもちろんであるが、その意見に賛同していそうな子を指名してもう一度わせる。また、「?」という顔をしている子に考えを話させる中で、あらすじを共有することができた。あらすじを根拠に音読劇を楽しんだ。

 考えが持てる子、根拠の言える子とともに、友だちの考えから学べる学級づくりを目指していきたい。
(草津市立矢倉小)