作文の実践 反省と次に向けて
川 端 由 起

 北島先生がまとめられた「作文十二か月」の本を昨年いただいた。国語科の指導項目と並行して作文 を指導されており、かつ年間を通していろいろな文章を書かせていらっしゃる。そして、何より作文を通して子どもが成長しているのがわかり、私も北島先生のような実践をしたいと真摯に思ったのである。

 縁とは奇妙なもので、今年から私は北島先生の以前の勤務校に勤務することになった。コロナの影響もあり、本格的な授業は6月からとなった。朝の学習タイムで週に一度作文の時間が割り当てられており、私はここで作文を徹底的に鍛えようと考え、意気揚々としていた。

 まず、最初に取り組んだのは、所謂「変身作文」である。最初は、「もし私(ぼく)がドラえもんだ ったら」というテーマで書かせた。すると、「私(ぼく)がドラえもんだったら、タイムマシーンに乗 って恐竜がいた時代に行ってみたい。そして恐竜と遊びたい。」という内容で終わる児童がほとんどで、ドラえもんの道具を使ってわくわくする冒険をするという話は出てこない。発想の広がりが全くないことに驚きを覚えた。

 また、同じ月に、変身作文2回目と題して、「もしも私(ぼく)が〇〇だったら」という題で作文を書かせた。おもしろいのもいくつかあったが、圧倒的に多かったのは、「私(ぼく)がもしペンギンだったら、氷の上を滑ってみたいです。なぜなら、氷はつめたいから滑ったら気持ちがいいのかなと思ったからです。ペンギンだったら暑い日でも、涼しいけど、寒い日はペンギンはどうなんだろうと、あとふしぎに思います。ペンギンになって寒い日を体験してみたいです。」(4年の児童)というような作文ばかりだったのである。

 私は、変身作文であれば、簡単に面白いものが書け、創造性に富んだ作品が出来るだろうと高を括っていたのであるが、それが見事に外れたのである。7月になり、さざなみの会に出席をし、北島先生の実践の資料をいただいた。そこで、私はあることに気がついたのである。北島先生は、作文に大切なのは、「何を書くか」「どのように書くか」とされていた。私は「何を書くかー文章の種類、題材」は児童には伝わっていた。次のどのようにー学習過程(書き上げるまでの手順)が児童には全く伝わっていなかったのだと確信したのである。変身作文であれば、誰からの視点で作文を書くのか、(視点人物)その主人公とするものは、何が見えてて、何ができて、何が好きなのかなどの材料集めなどの構成が全くできていなかったのである。短作文の練習でも、構成をまず最初に考えることの大切さを改めて気づかされた。
(草津市立志津小)