▼物語を読み、最初の感想を、「おもしろかったこと」という内容で書かせたことがある、教材は「三年とうげ」。感想は、おじいさんが転び病気になったことや元気になってよかったというおじいさんに関わることが多かった。しかし、三年とうげの言い伝えやリズム感のある歌をおもしろいと捉える子やトルトリの知恵が印象に残ったという子もいた。さらに、景色が目にみえるというところが好きだという感想もあった。

▼感想の違いは子どもがとらえる「おもしろい」である。読んでいる時、文や言葉を想像して読んでいると、主人公の様子や気持ちが伝わってくる。それだけではない。少し落ち着いて読み返すと、「三年とうげで転ぶでない」という歌が聞こえてくる。おじいさんの病気を心配する人の気持ちが分かってくる。美しいながめにうっととりしたのはどんな風景だろうという想像が働く。

▼「おもしろい」をそれぞれの子どもが自分の視点で捉えている。それを、授業という場でどのように高めるかというのが「主体的・対話的」の入り口であろう。その時の授業は、「おもしろい」の理解を発表させ、自分の捉え方と比べさせた。

▼指導の成果は、文章の構成や登場人物の設定や物語の内容理解であった。課題として、表現を支える「語彙」への意識高揚であった。 (吉永幸司)