はじめての俳句
岡 嶋 大 輔

「俳句って何?」というところから始める三年生、俳句を扱った学習。
「古池や蛙飛びこむ水の音」この俳句を目を閉じて聞き、気付いたことや感想を出し合った。
「えっ、これだけ?」
「かわずって何ですか?」
「かわずは、かえるのことやろ。」
「俳句は、五、七、五やで。」
と、驚きや疑問、知っていることがたくさん出された。
 私が「どんなことが伝わってきましたか。」と聞くと、
「かえるがぴちゃんって池の中に飛びこんだ。」
「ぽちゃっていういい音がした。」
「ここは、お寺だと思う。」
「芭蕉さんは蛙をずっと見てた。」
 やはり名句。子どもからは想像豊かで面白い発言が続く。
 私からは、「たった十七音なのに、そこから想像したことをたくさん出し合えたみんながすばらしい。」と褒めた。そして、それを十七音で表す芭蕉も、それをみんなで楽しめる「俳句」もすばらしいと話した。この時間は、あと五つの俳句を味わい、「次の時間に、俳句を作ってみよう」と投げかけて終えた。

 次の時間、始めに今の季節らしい言葉を出し合った。「かえる」「かたつむり」「せみ」「蚊」「あじさい」「トマト」「なす」「雨」「にじ」「水たまり」「かさ」等々。私からは、「夏の空」「雨上がり」「雨やどり」等を出した。
 すぐに書き出す子、頭をひねって考える子と様々ではあったが、みんなそれぞれの自信作ができ上がったようである。授業が終わってから「先生読んでよ。」「もっと書いてもいい?」と話してくる子が多かった。
 その時に書いた俳句は、作者名を伏せた一覧を読んで「いいな」と思う三句に投票するようにした。以下は子どもの作品の一部。
  トマトくん 顔が赤いな きんちょうか
  スキップで かえるが帰るよ 雨の日に
  ランドセル せなかがあつい 帰り道
  水たまり みんなでバッシャン 大わらい
  夏まつり 星いっぱいの すんだ空
  サッカーで ボールけったら くつぬげた
  雨の音 かえるが葉っぱで 雨やどり
  夏まつり みんなそろって すいかわり
  夏の風 いい音してる すずしいよ
  水たまり どんどん仲間が ふえてくよ
  長ぐつ かさ ずぶぬれの後は 七色のにじ

 きれいだと感じる情景、コミカルな動き、音や触感のある風景、ほのぼのとした様子、が素直に詠まれている。「初めて詠むにしては」というよりは「初めて詠んだ俳句だからこそ」傑作ばかりとなった。
(野洲市立北野小)