▼「想像する」をキーワードにして、数人の子と「こわれた千の楽器」(野呂さかん作・東京書籍4上)を読みました。全体を読むというより、場面ごとに言葉の意味を考えるという方法です。

▼先ず、始まりの一文である「ある大きな町のかたすみに、楽器倉庫がありました」を読み上げました。(子ども達はどんな反応をするのだろう)と思って間をとりました。「次はどうなるの」「続きを考えるの」「楽器倉庫ってなに」と数人でしたが、最初の一文でも反応が違います。黙って、聞いている子もいます。

▼続けて二つ目の文章である「こわれて使えなくなった楽器たちが、くもの巣をかぶって眠っていました」を伝えました。「楽器が力を合わせて演奏をするお話なの」と、いきなり、お話の主題を考える子がいます。「修理ができないのかな」「くもの巣をかぶっているから役にたたない楽器のおはなしかな」。

▼子ども達の話を聞いていると、正しいと思えることを見つけることへの思いが強いと感じました。途中から、「力を合わせた」「がんばった」「成功した」という単語はすらすら出ます。しかし楽器が力を合わせて音を出し合い「一つの楽器になる」というその過程が、いろいろな言葉で書いていることついては素通りでした。

▼言葉で考えるということは何かを考えた時間でした。 (吉永幸司)