「ウナギリーフレット」で、きょうみをもったところを中心にしょうかいしよう
『ウナギのなぞを追って』
谷 口 映 介

 本教材は、ウナギの稚魚(レプトセファルス)の旅の過程や、事実をもとに考え、仮説を立てて検証していく筆者たちの謎解きの面白さ、長い年月をかけて調査・検証を繰り返す研究者の情熱などが時系列に書かれている。学習者の多様な興味に答えうる文章と言え、読み手それぞれが興味をもったところを中心に、内容をまとめて紹介する言語活動に適した教材である。特に本教材が初出である「要約」を大切にした。

 「要約」とは、目的や必要に応じて元の文章を短くまとめることである。従って、興味関心によって要約文もそれぞれ異なる。大切なのは、自分にとって必要なキーワードを文章から取り出すことである。子ども達にとっては初めての経験であるため、要約のポイントとして次の三つを提示した。
〇「省く」…直接関係のない文や言葉を削る。
〇「付け足す」…つなぎ言葉や詳しくする言葉。
〇「つなぐ」…複数の文や言葉を一つにする。

 勿論、ただ単に、提示するだけでは、自分で使えるようにはならない。そこで、既習教材『ありの行列』を使って例文を示した。約千字の全文を四百字に要約したものであるが、子ども達は、例文から工夫を見つけ出した。
【例文※①~③は付箋での整理】
①ありの行列は、石のところでみだれて、ちりぢりになった。
②ようやく、一ぴきのありが、石の向こうがわに道のつづきをみつけた。
③また、だんだんにありの行列ができていった。
→(次は、この道すじに大きな石をおいて、ありの行く手をさえぎりました。)すると、行列はみだれましたが、一ぴきのありが道のつづきを見つけると、また、行列ができました。  子ども達からは、「三つの付箋の言葉が一文につなげられている。」「『ちりぢりに』や『ようやく』などの言葉が省かれている。」「『~が』や『見つけると』などのつなげる言葉が付け足されている。」などを見つけることができた。例文を提示したことで、要約する方法を理解することにつながった。

 「ウナギのなぞを追って」では、同じ興味をもつグループで「これは絶対に外せない」語句や文を出し合い、試しに冒頭部分を要約する時間を設定した。レプトセファルスの成長グループは、次の様な冒頭の一文を作った。
 「ウナギは、日本から二千キロメートルはなれたマリアナの海で、新月のころに一.六ミリメートルのたまごを産みます。」
 要約に必要なキーワードを選び、文を練る姿がどのグループにも見られた時間になった。
(滋賀大学教育学部附属小)