第7回近江の国語実践研究会
「深い学び」を実感できる学習づくり
蜂 屋 正 雄

 1月25日に草津まちづくりセンターにおいて、第7回の研究会を行った。今回は春に教材研究を行った「じどう車くらべ」(1年・光村)と「鳥獣戯画」(6年・光村)を梅野泰子先生(高島市立本庄小学校)と北川千恵先生(草津市立矢倉小学校)の二本の提案発表を中心に学ばせていただいた。

森邦博先生の講話
 「深い学び」というと、指導要領の改訂に伴い教科書も変わり、4月からは成果が求められてくる。何か新しいことを1からやり直さないといけないというイメージがあるが、先行実践の中にも学習者自身が学びの深まりを実感できる取り組みがある。実践例を紹介しながらお話しいただいた。

「じどう車くらべ」
 教科書にでてくる語彙を子どもの言葉で言い換えさせる中で、想像し読み深めていく実践でした。本時の記録もビデオ記録と文字起こしがされていて、教師の発問と子どもとのやりとりがよくわかった。本時では教材文がクレーン車を説明している文章を読みながら子どもたちがクレーン車を想像している様子もよくわかる実践。

「鳥獣戯画」
 自分の思いを書き残すことを目標に「書くために読む」というスタンスでの実践。筆者である高畑勲の書きぶりの魅力を探り、その表現技法を自分のものにする。作品の魅力を探す中で、「実況中継みたい」という子どもの発言から語りかける表現や体言止めの勢いやスピード感というものに気づいていった。最後は、二枚目の挿し絵を元に解説文を書く活動を通して、書き出しや体言止めを使って場面にあった表現を目指す実践。

吉永先生の講話
 森先生のお話と二本の実践提案を受けて、講話をいただいた。
 はじめは国語科と道徳科の違いについて。道徳は教材を話題として自分の心を根拠に学習を深めていく教科。国語科は教材文を根拠に学習を深めていく教科であるというようなことを言われたのがまず印象的であった。
 次に、新しい指導要領の思考判断表現で言うところの「精査」とは、想像力である。教材文を元に想像し合うことが学習活動になる。「じどう車くらべ」で言えば、クレーン車についての文章からクレーン車の実態を想像している。知らない言葉も子どもたちの言葉に直させることで、より実態に近いものを想像していく過程が見られ、語彙力という点でも子どもの実態にあった学習であったことを述べられた。「鳥獣戯画」では、他の説明文とは書き出しが違うという「比べる」といことをさせている。筆者の文章が上手であるという共通理解から、本文を根拠にその上手さを探すという学習活動がある。教材文を元に考えさせるのが大切である。また、教材文はまず読ませること、読めるようにすることが大切。最後に印象深かったのは、「読めるようになって初めて想像力も働かせられる。AIは想像してくれません。」という言葉。

 お二人の提案を元に、たくさんのことを学ばせていただいた研究会となった。
(草津市立矢倉小)