一工夫で弾む子ども
杉 澤 周 一

 毎日、授業を観させていただいている。すると、皆さんに広げたい指導がいくつも見つかる。既出ばかりだが、子どもが目を輝かせ前のめりに弾んでおり、やはりよい実践だと再認識した事例。

【モデルとステップアップ】
 モデルを示し学習活動を段階的に設定し力を積み重ねる実践。
○音読
 教師の範読に続いて真似て読む。単元のはじめは、文節ごとや小さなまとまり、徐々に「、」や「。」まで一気に意味のまとまりをとらえる範読、それを追いかける。機を捉えて範読はなくし、一斉、さ らに自立に向けて一人で読む。
○本文の該当箇所に線を引く。
 一つ目を教師が板書でモデルを示す。二つ目を個々の子どもがやってみてペアで確かめ合う。それを教師が見取り把握し必要に応じて補う。三つ目から自力で。
 見通しと安心を与えて学びのステージに乗せてあげたい。何れも子どもたちの声は弾んでいた。蛇足ながら、当番の号令。「二人で」から「一人で」に、機を捉えてステップアップしてみてはと呼びかけている。人の前で一人で場に応じた声の大きさで、はっきりとした口調で伝える力を鍛えて伸ばしたい。指導する方に意図がないと力をつける学習機会がないまま活動だけが流れていく。

【ネーミング】
 力をつけ定着させたい学習活動に名前をつけて継続すると、個々とその集団の関心・意欲の喚起、維持、学び方が定着し学習効果につながることに身に覚えがある。その実践に出会えた。
○説明文の要約(4年)
 ・めあての提示:ズバリとスッキリで本論①段落を要約しよう。
 ・ズバリ技…書かれている内容の大事なところだけ残す。
 ・スッキリ技…いらないところはけずって文を短くまとめる。
 「ズバリ技」と「スッキリ技」この言葉を通して、関心・意欲の高揚と継続が単元を貫く。安心と 自信をもとに繰り返し学習し力につながりやすい。単元学習後、「あの時のように…」と既習を次につなげやすい。今後、一人で自力で読むとき、この言葉を通して自力で想起して文章を捉えようとし、できるような定着が期待される。ある学校のある学級で、子どもが「先生、トリオをしたいです。」と申し出た。3人で話し合う活動に名前が付いていた。学びに向かう力につながっていると思った。

 これらに共通しているのは、「どの子どもも弾んで学べるようにしてあげたい。そのために、どのように工夫するか配慮するか」を常々潜在意識として宿していることではないか。相手は、たった十歳前後の子どもである。されど、それぞれに可能性をもつ。それを引き出したい。そのために意図して一工夫し、個々とその集団が弾んで学習できる舞台を準備したい。
(東近江市教育委員会学校教育課)