「読み解く力」向上研修会に参加して
北 川 雅 士

 本年度は滋賀県の学ぶ力向上プラン「読み解く力プロジェクト」の推進委員として年数回の向上研修に参加してきた。「読み解く力プロジェクト」は県の学ぶ力向上滋賀プランの「読み解く力」の育成に向けて、各市町から選ばれた教員で研究チームを作り、総合教育センター研究員の方々と、読み解く力向上のための授業のあり方について実践的な研究を進めるものである。

 読み解く力の向上研修に参加し、感じているのは「何か特別なことに取り組んでいくということではない」ということである。研修の際にはグループで話し合い、授業改善についてアイデアを出す。そこで出されるキーワードは「単元構想」「発達段階にあった課題設定」「導入時の疑問や考えの言語化」「学習をつなげる」「考えの変容を促すしかけ」「学び合う方法の積み上げ」「多様な考えの共有」などであることからも、「読み解く力」向上への実践は、日々の授業をどう改善していくのかというところにあると考えられる。

 研修を通して「読み解く力」の2つの側面「A 主に文章や図、グラフから読み解き理解する力」「B 主に他者とのやりとりから読み解き理解する力」と「必要な情報を確かに取り出す(発見・蓄積)」「情報を比較し、関連づけて整理する(分析・整理)」「自分なりに解決し、知識を再構築する(理解・再構築)」の3つのプロセスをいかに普段の授業で意識しながら単元や毎時間の授業を作るかが大切であるということを再確認することができた。

 また、授業改善に関してもいくつかの大切なことを学ぶことができた。とくに今年度研修を通して学び、普段の授業で意識してきたのは「系統性を考え、前もって手立てをうつ」ということである。単元ごとに単発で学習に取り組んでいくのではなく、先々を見越して準備や手立てをうつことが、児童が主体的に課題に取り組んでいくためにとても重要であると感じた。教室掲示や学習の導入でも既習事項が想起できる手立てを考えたり、並行読書も直前ではなく前もって取り組んでいける工夫を行ってきた。あわせて対話のためのグループ作りや、話し方、まとめ方などの積み上げも4月から段階的に行うように意識してきた。ある研修の指導助言の際に聞いた「交流や対話は段取りが9割」という言葉は忘れないようにしたい。

 学ぶ力向上滋賀プランとして「読み解く力」の育成に重点をおいて取組を進めるのは5年間の期間が設定されており、本年度はその1年目である。今年度の研究の成果が次年度へ引き継がれ、研究を重ねることにより具体化していくものと思われる。この取組を県全体へ広げていくために、今年度研修を重ね学んだ成果を伝達していくとともに、今後も「読み解く力」を意識しながら授業改善に努めていきたいと考える。
(彦根市立城南小)