みんなで五・七・五のリズムにのせて(2) ~日常を十七音で~
北 川 雅 士

 さざなみ国語教室448号(2019年7月)でも書かせていただいたように、本年度担任している5年生の子ども達と、俳句を作ることを通じて語彙の拡充や、言葉に対する興味関心を高めたり、書くことの楽しさを学んでいこうと考えている。2学期、国語科の学習は『日常を十七音で』(光村図書5年)からスタートした。1学期の学習経験をふまえた俳句の学習にしていきたいと考え、取り組んだ。

 本教材を通して子ども達につけたいと考えたのは俳句を作る際に「言葉をよりすぐる」という点を意識していくということである。俳句のをつくる経験はしているものの1学期は「楽しく」「五・七・五」でという点に重きを置いていたため、多くの子どもに言葉を「選ぶ」意識はなかったように思う。

 さざなみの例会で教えていただいたように、まずは俳句の題材集めをじっくりとおこなうことにした。ただ校舎周辺が工事のため、散策等できない状況のため、登下校の通学路や、家の周りで気づいたことや感じたことを短作文にする課題を出して、導入では見つけてきたものを交流した。すると多かったのは「虫が鳴いていた」「花が咲いていた」「まだ暑い」「月が見えた」というような内容だった。そこで、「何の虫だったのかな」「どんな花がどう咲いていたのかな」「どんな暑さなのかな」「どんな月だったのかな」というように質問を通してより詳しく、より具体的になるように、必要ならば調べたり、家の人に教えてもらいなががら題材となるものを見つけていった。

 題材として見つけたものをもとにして一度俳句を作り、読み合った。そして教科書の表現の工夫を読みながら自分の俳句をどう工夫できるのかをグループでアドバイスしながら「どう言い替えることができるのか」「どんな表現の方法があるのか」「ひらがなと片仮名と漢字を使い分けるとはどういうことなのか」子ども達のノートには俳句とそれを練り直しながら書き直したものがたくさん書かれていた。

 完成した俳句は色紙の短冊に筆ペンで清書し、掲示して全員で句会を行った。子ども達からは「今回はみんないいな」「どれもよくて選べへん」「全部いいわ」という声がきこえてきた。本来なら全部紹介したいところではあるが、一部のみ紹介する。
 庭に出て シオンの花に 秋を知る
 六時半 夕暮れ空に 月が出る
 美しい 黄色の稲の カーペット
 家の庭 一面オレンジ ガーベラよ
 松江から 秋のおとずれ 梨の声
 かじられた 月を食べたの 月うさぎ
 まだ暑い シオカラトンボ ヒュンヒュンと

   夏休みの俳句教室で学んだ「体験を通して感じたこと、知ったこと、気づいたことを言葉に結びつける」ということの大切さを改めて感じた俳句の学習だった。この学習をきっかけに、学級では当番が「その日の一日をふりかえり句を詠む」という活動をはじめることにした。毎日帰りの会で紹介していこうと考えている。またどこかで紹介ができればと思う。
(彦根市立城南小)