甲虫・紙芝居・風鈴・けん玉 そして俳句  〜夏休み子ども俳句教室〜
好 光 幹 雄

京都市長賞
 セミがいる ミンミンないて かくれんぼ   山西睦美(1年生) (学校名略)
 木のうらの ききょうは少し さみしがり   神谷遥香(3年生)
 体もち その後つのもち かぶと虫   飯田康太(6年生)
 葉越しに 見上げた夜空 華が咲く   堀田和葉(中学2年生)

京都市教育長賞
 さるすべり 赤、白、ピンク あまいかな   須藤羽菜(2年生)
 青色の シロップかけた かき氷   植木政成(3年生)
 目をとじて きこえるいろんな 蝉の声   冨島すみれ(5年生)

NHK京都放送局長賞
 かぶとむし はじめてさわった たのしいな   水谷綺葉(1年生)
 夏野菜 太陽あびて よく育つ   齊藤果凛(2年生)
 ぜん寺で みななかよしの せみしぐれ   田中花穏(3年生)
 風鈴が とてもすてきだ きれいな音(ね)   郡山幸大(5年生)

朝日新聞京都総局長賞
 しずかにし みんみんみんと せみの声   西川 慧(2年生)
 夏休み たいようキラキラ なってるよ   堀田創亮(2年生)
 ヒマワリと 子どもの笑顔 咲きほこる   澤田恵利子(4年生)
 青もみじ 大陽あびて 育ってね   齊藤亜芽里(5年生)
京都新聞賞
 なつのにわ いろいろなはな きれいだな   田中杏奈(1年生)
 夏休み あかしろピンクの さるすべり   田中千尋(1年生)
 百日紅 フリルのドレス かわいいな   冨島 翼(3年生)
 手作りの 風りん鳴るよ りんりんと   小畠英加(4年生)

毎日新聞社賞
 あつめたよ せみのぬけがら 大切だ   冨島ひかり(1年生)
 七夕は 本とうにねがい かなえるの   澤田明広(2年生)
 プールへと かけだす子ども 大はしゃぎ   畑中 凛(3年生)
 虫かごで クワガタたちが せめぎあう   仲屋佐菜子(3年生)

特別賞(NPO法人)
 かぶとむし ばったといっしょ ぶどうゼリー   西條佑志朗(2歳)
 くわがたと いたいあしだな かぶとむし   西條浩太焉i4歳)
 いかたべた ぎおんまつりで はがぬけた   石束 暁(5歳)
 せみが きにのぼるのが うれしかった   神谷篤紀(5歳)
 てらのにわ ききょうきれいだ むらさきで   立花楓奈(1年生)
 寺の庭 蝉のぬけがら 見つけたよ   菱澤佳那(2年生)
 さるすべり せみのぬけがら すべってた   勝矢壮亮(2年生)
 てらのにわ せみがみんな うるさいな   文屋七美(3年生)
 あつい夏 おとなもみんな あそんでる   近藤沙月(3年生)
 あつい風 夏がきたよと しらせてる   石束 英(3年生)
 洗たく機 つゆの間の ひと休み   伊藤弘晃(3年生)

 甲虫に触れることが初めての子も。おっかなびっくり、甲虫をどのように触ればよいのかも分からず、初めは恐る恐る。しかし、他の子が大胆に甲虫の体を掴み、手のひらで遊ばせているのを見たのか、やがて手のひらで遊ばせるように。しかし、腐葉土から掘り起こされた甲虫は、逃げの一手。木箱に張ってあったロープを伝い、文字通り綱渡り。そんな甲虫の巧みな足技にまた見入る子。甲虫との触れ合いだけでも貴重な体験をした子どもたち。
「此処で止まって、さあ、目を閉じて、耳を澄ましてみてください。30秒間ですよ。はい。」
 青もみじの木漏れ日の中、参加者全員がしばし耳を澄ませ聞き入りました。
「はい、何が聞こえましたか。」「蝉の声。」
「凄い蝉の声ですね。雨のように降り注ぎますね。ですからこれを蝉時雨と言います。」
 境内に咲く百日紅、桔梗、鮮やかな花や青もみじも説明。名前を知り、樹の肌も触れ皆で鑑賞。甲虫、和尚様の紙芝居、けん玉、風鈴の手作り。そんな体験が言葉と結びつき貴重な経験となり俳句という言葉の花を咲かせました。後日あるお母様から、あれから我が子がずっと俳句を作り、50句も詠みましたと。子どもの初めてを大切にすることを改めて感じた電話。関係者全ての皆様に深謝の初秋。
 蝉時雨生きる力を我も得ん 幹雄

  【夏休み子ども俳句教室の案内文書】 (新しいウィンドウで開きます。pdfファイル)
(さざなみ国語教室同人)