▼徳川家康の家臣、本多作左衛門重次が陣中から妻に送った「一筆啓上、火の用心お仙泣かすな馬肥やせ」という手紙。その碑が立つ坂井市が手紙文化の発信地として「日本一短い母への手紙」を募集したのが20数年前。「お母さん、反対してくれて有難う。おかげで辛抱できました。結婚生活、十七年。」「母さん、ありがとう。母さんが私を信じてくれたからこそ、私も娘を信じぬけます。」手紙の奥にあるの気持ちに感動しノートにメモをして繰り返し読んだことを記憶している。

▼「一筆啓上賞」通算第26回!『日本一短い先生への手紙』を見つけた。手紙の相手は、学校の先生、医師、パソコンの先生としての孫と多様。「僕のこと、知っていますか?」から始める中学生。「僕は全体のひとりです」と自分を語り、「いつか見つけてみてください」にどきっとする。相手は校長先生。76歳の方は、診察の度に「加齢」という言葉を「綺麗」と言って欲しいという医師への手紙も。

▼もし、手紙を書くとしたら小学1年生担任の藤岡先生。「母が尊敬していた先生です。教え子を大事にする先生のようになりたくてずっと生きてきました。」

▼「一つの花」のゆみ子に、「ごんぎつね」のごん、あるいは兵十に「短い手紙」を書くという授業をしてみたいなと熱い気持ちがわいてきた。(吉永幸司)