全校で取り組む書く活動
西 條 陽 之

 小野小学校では午後の始業前の10分間をのびっこタイムとしている。昨年度までは、国語、算数、そして外国語活動と曜日によって異なる教科の学習に取り組んでいたが、本年度は、外国語活動の時数確保に合わせて、毎日ののびっこタイムで国語科が実施される運びとなった。これは、ある意味チャンスである。10分間に刻まれたとは言え、全学年が一斉に国語科の学習をする時間が確保できるのである。これを子どもたちの意欲に変えない手はない。

◯作文を書くことをゴールとして
 本校の研究教科も国語科であり、子どもたちが夢中になって考える授業の創造を目指して今年で2年目となる。記述式の設問になると途端に書けなくなる、原稿用紙の使い方が習熟しないまま卒業文集制作を迎えているなど、本校の子どもたちが抱える課題もあった。ただし、作文トレーニングのようにひたすら書くだけでは辛い作業になりかねない。そこで以下のような取り組みのモデルを提示することとなった。

(1) 全校で同じテーマの作文に取り組む。
 昨年度の作文教室でも紹介されていたように、全校で主題を同じくした作文活動に取り組むことを主軸とした。こうすることによって、学年の垣根を超えて、みんなで作文を書いているという連帯感一体感を生み出したいという思いがあった。

(2) 書くための土台を作る
 テーマは一貫しているが学年の実態によってできることは異なってくる。もちろん1年生はひらがな・カタカナの習得がまず重んじられなければならないし、いきなり作文をしましょうなどとはいかない。そこで、実践例として、曜日毎の活動を示し、教師間での共通理解を図った。
 テーマは2週間縛りとし、月曜は文字の学習、火曜はテーマについてペアトークで深める、水曜は実際に書いてみる、木曜は書いたものを音読や交換して読んでみる、金曜は添削を受けて推敲し、作文を完成させる。という流れである。テーマについていきなり書くのではなく、話し合いで考えを広げ、書きたいという思いを引き出してから作文に向かうことができるのではないだろうか。1つのテーマに2週間の期間を使うことで、10分間では書ききれない子のフォローもでき、原稿用紙の使い方についても一人一人の書きぶりにじっくり向き合うことができる。

(3) 共有の場を設ける
 作文は誰かに読まれることで完成する。各学年で磨かれた作文をひと所に掲示していく。各学年の実態や子どもたちらしさを鑑賞したり、書くことへのエンパワメントな場にしていきたい。
 学校全体で取り組む風土づくりが夢中になって作文を書く子どもの姿につながるか、今年の勝負が始まった。
(大津市立小野小)