初任者研修指導教員として
飯 沼 俊 雄

 今年度も初任者研修指導教員として、初任教員に実践的指導力と使命感を養うとともに幅広い知見を得させるよう、指導と助言に当たっている。1年を左右する学級集団の土台をつくる大切な時期である4月に伝えていることは多くあるが、特に次の2つは1年間を通して、大切にしている。
 T.学級集団の状態は変化すること
 U.子ども個々の実態と学級集団の状態に合わせて、教員の指導行動をアレンジすること

 現在、学級集団づくりの目的は拡大している。不登校やいじめ問題を発生させない学級集団づくり・学級崩壊を防ぐ学級集団づくりに、高い資質・能力を育成する学びを支える学級集団づくりも加わった。より緻密で計画的な学級集団づくりが求められている。河村(2012)は、学級集団の状態の変化を、「学級集団の発達過程」と呼び、次の五段階で捉えている。
 第一段階:混沌・緊張期、第二段階:小集団成立期、第三段階:中集団成立期、第四段階:全体集団成立期、第五段階:自治的集団成立期。

 混沌・緊張期のこの4月、子ども同士の交流も少なく、学級のルールも定着せず、学級のまとまりのない段階において、本校の初任者も学級開きで、子どもの願いを取り入れた理想の学級の状態を共有する時間を大切に、理想の学級を達成するための学級目標を決め、子どもたちと合意を図った。そして、学級目標を達成するために子どもたちとともにみんなで守る約束を一つひとつ決め、その約束の意味や価値を子どもに丁寧に説明をしている。さらに、約束を一方的に押し付けるのではなく、子どもたちの意見も聞きながら、合意形成する時間を大切にしている。前担任からの引き継ぎの情報だけでなく、日々の子どもの観察から、指導内容の優先順位を決めているようである。2週間も経たないうちに、学級の子どもの状態に変化が見られるのがわかる。

 この1年、指導内容を一方的に押し付けるのではなく、初任者教員に寄り添いながら、互いに学び高め合いたい。
  【参考文献】 河村茂雄『学級集団づくりのゼロ段階』(2012 図書文化)
(湖南市立三雲東小)