学校図書館のこれから
常 諾 真 教

 長野県茅野市では、校長に辞令を交付する際に学校図書館長に任命するという。教育課程の中で学校図書館の活用を充実させるのが目的であり、教育課程を司るのは学校長であることからこの取り組みは行われている。校長にも得意分野とそうでない分野があるが、図書館長となれば、図書館経営に関わる意識が高くなり、図書室へ足を運ぶことも多くなるだろう。
 茅野市では、学校教育だけでなく、すべての教育活動の基盤に読書・図書館教育を据え、「おなかの赤ちゃんの読書会」「ファーストブック・プレゼント」「セカンドブック・プレゼント」と継続した事業が行われている。小中学生の不読者率が低下し、読書への興味関心も高いレベルになったと報告されている。(文科省「平成29年度子どもの読書活動推進計画に関する調査研究パンフレット」)

 学校図書館法の改正によって平成15年から12学級以上の学校では司書教諭が必置となった。しかし、図書館主任に司書教諭という職名が追加された(あるいは、主任とは別に資格をもつ教員を充てた)だけで、学級担任との兼務のままである。図書館に関わる時間が保証されるわけでもなく、図書館の状況はほとんど変わらなかった。また、たとえ専任の司書教諭が配置されたとしても、小学校では学級担任を離れることを嫌う教員は多い。
 人事異動を円滑に行う意図もあって、司書教諭講習を受講して有資格者の増加が図られているが、積極的な受講者は少ないようである。学校図書館関係者の間では長年の懸案であった司書教諭の配置であったが、図書館活性化への成果は限定的であった。

 平成26年の学校図書館法改正を受けて、大学では学校司書の養成が始まっている。今のところは学校司書に必要な単位を履修しても「学校司書」という制度上の定めはない。学校司書は、学校設置自治体が臨時職員として採用していることが多く、身分的にも不安定である。正規職員は13%程度だが、配置率は約80%となっている。(全国SLA「第64回学校図書館調査」)
 学校図書館に人がいるということは雰囲気が温かくなる。「この本おもしろいよ」と一言声を掛けられるだけで、子どもは読んでみようという気になる。本があって、人がいてはじめて図書館として機能するものだと思う。
 専門教育を受けた人が実際に学校司書となるのは、まだまだ先のことであろうが、学校司書の活躍が学校図書館活性化の鍵となるのではないだろうか。
(さざなみ国語教室同人)