▼通勤・通学の人と外国の観光客で混雑している朝の駅。改札を出てしばらく歩いているとキャリーバッグの女性が前を横切った。キャリーバッグがぶつかり思わず前のめりになった。観光客であろう女性はsorryという単語を残して改札へ向かった。

▼このような場合、「ごめんなさい」の他にどんな言葉があるのか考えてみた。「大丈夫ですか・痛くなかったですか・怪我はありませんか」と相手の状態を気づかう言葉。「急いでいたので・回りが見えなかったので・大きな荷物を持っていたので」という相手に迷惑をかけたことに対して理解を求める言葉。「大事にしてください。怪我がなくてよかったです」は相手に共感する言葉。「急ぎますのでごめんなさい、お大事にしてください」等々。共通するのは、相手へのいたわりであり気づかいである。

▼日本語には、気持ちを表す言葉がたくさんある。さらに、その言葉を使わないと相手を思う気持ちが育たないという一面がある。「ごめんなさい」の他の言葉を使っていない子とその時の状況で色々な言葉を使っている子との違いは心の豊かさの違いに表れているように思えることが多い。

▼小学校に英語教育の目標である「国語や我が国の文化に対する理解を深める」という文言の重さを考える朝のできごとであった。。(吉永幸司)