「面白さ」の入り口 〜ウナギのなぞを追って〜
西 村 嘉 人
説明文「ウナギのなぞを追って」の教材研究でその教材の魅力に惹かれた。ウナギの稚魚であるレプトセファルスを追いかけ、産卵する場所を突き止めるまでの研究の過程や研究者の緻密な思考が子どもたちにも分かるように図を示しながら解き明かしているからである。 「ウナギのなぞを追って」を目を輝かせながら読み進める子どもの顔を楽しみに学習指導に入ったのだが、学習に入って4時間で完全に行き詰まった。 音読を2時間繰り返し、範読も2回聞かせたのだが、文章を読んで興味をもったことが明確に表せないのである。ぼんやりと「レプトセファルスをさがすところに興味をもった」「ウナギの卵が遠いところで見つかったことに興味をもった」など、文章の一部分に興味を示しただけで、その根拠を尋ねても曖昧な返事しか返ってこなかったのである。 行き詰まりの原因を子どもたちの学習ノートをもとに探り、どう修正するかを考えざるを得なくなった。 原因はすぐに分かった。「ウナギのなぞを追って」が面白いと感じていたのは教師だけで、子どもたちは「面白さ」の入り口にも近づいていなかったのだ。 そこで、各段落ごとに要点をまとめる学習を取り入れた。 第1段落から第4段落までは、子どもたちと大事な言葉選び、一緒に要点をまとめる学習を進めた。第5段落以降は、大事な言葉だけを話し合ったり、教師のまとめた要点を示したりしながら学習を進めた。一人ひとりが文章を読み要点をまとめるようになってから、子どもたちの様子が変わってきた。 「54ミリメートルって5.4センチやなあ。」 「だんだん小さくなってきた。」 「もうすぐやと思うわ。」 要点をまとめながら、席の近くの子どもが話し出したのである。 第12段落まで、要点を確認しながら進めたあと、 「興味をもったところがあった?」 と問うと、 「いっぱいあった!」 と勢いよく返答してきた。やっと当初の学習計画案に戻れた。ここまでで導入から6時間。長い長い「第一次」である。 この後は、自分が興味をもったことをグループで話し合ったり、その根拠となる文を確認し合ったりしながら、要約文を書く学習へと進んだ。 大人の「面白い」と子どもの「面白い」の距離が大きいことを改めて感じた学習指導であった。 (彦根市立稲枝西小)
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