▼「言葉は、身近な人に親しみを持って接し、自分の感情や意思などを伝え、それに相手が返答し、その言葉を聞くことを通し、次第に獲得されていくものである。」(幼稚園指導要領・「言葉」に関する「内容の取り扱い」)

▼教室で子どもの話す言葉に耳を傾ける。やさしい言葉で話しかける子、粗い言葉の子など。授業で教えた訳でもない。子どもの言葉を見ていると、社会生活に必要な言葉は、「次第に獲得されていく」に納得できる。子どもが使っている言葉は、読書を含め、親や教師、地域の人との「対話」、そして「子ども同士」は遊びや学習で獲得したものであろうと考えるから、言語環境の大事さをあらためて思う。

▼「丁寧なことば」を柱にした学校づくりを志したことがあった。返事・呼名と日常生活の言葉の丁寧語。徹底するとそれが学校生活の文化になる。「学校と同じ言い方で話していると塾ではからかわれる」と抗議にきた。しかし、時間がたつと、その子の周りにいる塾の子たちが丁寧な言葉を使うようになっていたという後日談がある。

▼言葉の指導でお手本になるのは職員室。子どもから、てっちゃん(仮名)と呼ばれていた先生。職員室の会話を耳にした言葉に敏感な子が使い始め学校で広がった。子どもがてっちゃんと呼ぶのは不自然。(吉永幸司)