課題を決めて読む 「ごんぎつね」
北 島 雅 晴

 自分で課題を決めて物語を読むと、より前向きに学習が進められるのではないか、学習の進め方がよりはっきりするのではないか、そのようなことをねらって学習を進めた。子どもたちがどんな課題を見つけ出すのかという期待もあった。

 第一場面を読み、各自で課題を見つける。それらを持ち寄って四人グループで話し合う。
「兵十のことよりも、ごんのことで課題を考えた方がいいと思うのだけど。」
「兵十がなぜ川上に行ったのかということは、考えても分からないというか、考えても仕方がないと思う。」
「私は、ごんがなぜいたずらをするのかを考えたらいいと思います。」
 このような話し合いを経て、課題を一つにしぼる。例えば、第一場面では、
「ごんはなぜいたずらばかりするのだろうか。」
「ごんはほら穴で、どんな思いでくらしているのか。」
といった課題が出てきた。

 個人での課題づくり、グループでの話し合いという手順で、各場面の課題づくりを進めた。そのあたりの過程を、ある子の学習の記録から抜粋してみる。

◆このお話を読んで最初は「なぜごんは、いたずらが好きなのか」と考えました。この時は、この課題で上等だと思っていたけど、読んでいくたびに、「ごんって本当はいいきつねなんだ。」と思うようになりました。それで、「なぜごんは、くりをもって行ってやさしくできるようになったのか。」という課題を考えました。

 各場面の課題を参考にして、全体を通す課題を考えるように指示した。このような働きかけは今までしたことがなかったので、どのような課題が出てくるのだろうかという期待と、それらを使って以降の学習が進められるのだろうかという心配とがあった。しかし、子どもたちもなかなかやるものだと感心した。
「いたずらばかりしていたごんが、なぜつぐないをするように変わったのか。」
「ごんは兵十のことをどのように思っているのか。兵十はごんのことをどう思っているのか。」
といった作品全体を見通した課題をつくることができた。
 直観的につくった学習課題であり、そのあたりに指導上の課題があるかもしれないが、子どもたちは、主体的に取り組んだという姿が伝わってきた。
(草津市立志津小)