「気になること」が見つかった!  「プラタナスの木」
西 村 嘉 人

 「プラタナスの木」(椎名誠・作)の学習を進めている。長く四年の国語を担当していなかったので、子どもと読むのは初めてである。
 時間に少しゆとりがあるので、学習のてびきを自分で読み、学習を自分で進め、読後の感想文を書く学習計画を立てた。
 さて、授業である。
 物語を一時間たっぷり音読した後、次の時間に学習のてびきを読み、学習の進め方の学習をした。
@五つの場面を確認する。
A学習のてびきに示された枠組みを真似て学習ノートに同じように作る。
B自分で物語を読んで、場面ごとに「様子や出来事」や「主人公の心情」を書きまとめていく。

 Bの学習を進める子どもたちが手を挙げて、わたしを呼ぶようになった。子どもの席に行って話を聞いてみると、
「このおじいさん、なんか不思議な感じ。」
「なんで急に現れて、マーちんたちと仲良くなったん?」
 隣の子どもが話に入ってくる。
「プラタナスの木が切り株だけになったら、おじいさんもいなくなるって、なんか変やわ。」
 子どもたちの頭の中に「?」が湧き出した。そこで、黒板に、
「みんなの考えを聞きたいこと」と書き、子どもたちに黒板を開放してみた。

○四の場面で、プラタナスの木がしおれたのではなく、なくなったと書いているのはどういうことか。
○三の場面で、おじいさんが「みんなによろしく」っていってるけど、どういう意味なのか。
○五の場面で、、マーちんたちはきっとまた芽を出して生えてくると思っているけど、みんなはどう思う。
○五の場面で、木が切られておじいさんがすがたを見せなくなったと書いてるけど、どういうことか。
○おじいさんはプラタナスの木?

 最後の子どもが書いた「おじいさんはプラタナスの木?」に教室がざわつきだした。隣の席の友だちと教科書のページを開けて確かめる子ども。グループで頭をつきあわせて話し出す子ども。
「なんか、気になることが出てきたみたいですね。一時間、みんなで話し合ってみますか?」の問いかけに、「やった!」と反応する子どもたち。
「それじゃあ、自分の考えが話せるように準備しよう」の指示に、教科書の文章に戻る子どもの勢いが印象的であった。
(彦根市立稲枝西小)