▼手元に教材「お手紙」(2年)授業記録がある。ある研究会で発表されたもの。教室の雰囲気が伝わってくる。提案のプリントを読み返した。2時間続きの授業で、先生の発言が16回、子どもの発言が68回の記録である。

▼授業はまとめの段階。めあては、「がまくんがいちばんしあわせな気持ちの場面はいつなのか考えよう」で、「不幸な気持ちから幸せな気持ちに、がまくんの気持ちが大きく変わったね。どうして、そんな気持ちが変わったの?何があったの」と課題を分かりやすく解説され授業が始まる。

▼最初の子、がまくんの幸せな気持ちを発表する。次の子が、違う気持ちを発表する。お互いにつながっているようには見えないが、発言が次々と続く。互いに言いたいことを発表しているように見えていたのに、全体として、手紙を待つ時間の長さや、手紙の「親愛なるがまがえるくんへ」と、話題が広がっていった。

▼授業記録に見えない教室の姿が奥にあることが分かってきた。ひとつは、子ども達に日頃から、話し合いの仕方を指導されているということ。二つ目には、授業記録には表れない先生のうなずきや表情が学習意欲を高めているということ。

▼「主体的・対話的で深い学び」は、発言力と聞く力を育てることが大事といわれている。その秘訣が授業の記録から見えた。(吉永幸司)