学習に向かえない子はいるのか
北 島 雅 晴

 4年生の説明文「アップとルーズで伝える」では、要約文の書き方について学習した。学習の概略は以下の通りである。
@各段落に小見出しをつけて、段落の要点をまとめる。
A小見出しと要点をもとに要約文を書く。
全体を「要約ノート」と名付け、B4版1枚にまとめた。

【途中でやめてしまうAさん】
 本文は全部で8段落あるのだが、Aさんは、2段落まで書いた段階で、その後は何も書こうとしない。
「どこか分からないところがあるのかな。」
「ここの部分をよく読んでみたらどうだろう。」
いろいろな場で個別指導をしているが、Aさんにぴたりと響く言葉がなかなかかけられない。周りの子は、すでに6から7段落のあたりを進めている。
 そこで、Aさんの要約ノートを借りて、私が3段落から6段落までの小見出しと要点を書きこんだ。5、6分かかるその作業の間、Aさんは、私が何をしているのかを見ながら過ごしていた。 「残りは2段落だから、後は自分でやってみよう。」
(Aさんはやる気があるのか?)
と、ついつい思ってしまうこともある。しかし、Aさんには、かなり具体的に学習の進め方を示すことで、学習に向かう姿勢が戻ることが多い。

【下を向いてしまうBさん】
 Bさんはできないことがあると、下を向いて何もしようとしない。
(こんな簡単なことにどうして取り組まないのだろう。)とついつい思ってしまう。
「ぼくは、できないんだ。」
という自信のなさが、学習によい影響を与えていないように感じる。
 本単元の最終段階で、Bさんの下を向く行動を目にした。何とか自信をもって取り組んだという思いを残さなければいけない。Bさんの要約ノートの何か所かに線を引いた。
「この線を引いた部分をつないで書いたらどうだろう。」
と指示すると、その後は集中して取り組むことができた。

「どうしてやる気をもって取り組まないのだろう。」
という考えが私の心の中に湧いてしまうことも多い。しかし、全ての子が、できるようになりたい、賢くなりたいと思っているにちがいない。そう信じて、前向きに学習しないことを子どものせいにしないようしたい。
(草津市立志津小)