▼教材「『鳥獣戯画』を読む」(高畑勲・6年・光村)は「この絵、私はこう見る」と関連させて指導をするように設定されているので、多様な学習活動が期待される。高畑勲さんが様々な表現を用いて「鳥獣戯画」の魅力を伝えている方法を学んで書く力を伸ばすの指導の成果である子ども達の作品を読むと、表現力を獲得しているものが多い。

▼単元名である「筆者のものの見方をとらえ、自分の考えをまとめよう」を素直にとらえ「筆者の」を大事にする」と、教材の着目点が広がる。「はっけよい、のこった。秋草の咲き乱れる野で、蛙と兎が相撲をとっている」から始まる文。おそらく、映像ならこういうように進めていくのだろうなと思える表現である。続いて、「漫画の祖」と言われる理由。さらに、「アニメの祖でもあるのだ」と断定される。

▼文章で興味があるのは、「この三匹の応援蛙のポーズと表情もまたすばらしい。それぞれが、どういう気分を表現しているのか、今度は君たちが考える番だ」「『鳥獣戯画』は、だから、国宝であるだけでなく、人類の宝なのだ」は、「君たち」つまり、「教室のみなさん」と置きかえ、「わたし」(子ども自身)が自らの問題にしてほしいと高畑さんの意図を推測している。高畑さんの意図に答えて、ひとりで、そして、友だちと読んでほしい文章である。(吉永幸司)