読んで気になることを話し合う
西 村 嘉 人

 「白いぼうし」(光村4上)の学習でのこと。
 新出漢字の読みの練習や音読練習などで2時間過ごした後、子どもたちに、
「グループで気になることを話し合う。」
と学習のめあてを提示した。
「自分が読んで?」
と、きょとんとした顔でつぶやく子どもたちに、
「そう。自分が読んで気になったことを、『ねえ、ねえ、わたしここが不思議なんやけど、どう思う?』って、グループの4人で出し合って話してみるの。」
と答えた。

 初めての学習体験に戸惑いながら、子どもたちは「気になること」を恐る恐る探っていく。
「なんで、松井さんは夏みかんをタクシーに乗せたのかなあ。」「なんで、松井さんはぼうしを開けたのかなあ。」
「なんで松井さんは夏みかんをぼうしの中に入れたのかなあ。」グループを回りながら子どもたちの話に耳を傾けるが、「なんで」「どうして」のオンパレードで、読めば分かることを「気になったこと」として話し合っていた。

 次の時間、我慢できずに
「女の子の正体を語り合う」
と、学習のめあてを切り出した。
 子どもたちは、またまた困り顔で、
「そんなん分からへん。」
と答える。
「確かな証拠はなくても、書いてあることを拾い集めて、だから○○だと思う、と言うことはできるよ。」
と押し切って、学習を進めた。

「松井さんがぼうしをあげたときにちょうが逃げて、その後タクシーに女の子がいたから、女の子はちょうだと思う。」
「行っても行っても四角い建物ばかりだもん、というところで、こんな言い方をするのはおかしいから、人間ではなくてちょうだと思う。」
「それに、急にいなくなって、野原にちょうが飛んでいたのは、自分の家だと分かって、タクシーを降りたのだと思う。」
 友だちの発言を聞きながら、ゆっくりだが、文章から考えのもとになる表現を見つけて、考えをつないでいく子どもたち。「女の子はちょう?」と気にしていたことをすっきりさせて満足げな様子であった。

 「国語の物語の勉強は、自分で読んで気になったことをすっきりさせていくために読むんだよ。
 今日、勉強したことが『想像する』ということなんだよ。」
と蛇足ながら付け足した。
(彦根市立稲枝西小)