夢を絵にする
廣 瀬 久 忠
菩提寺北小学校が「あいさつにはじまり夢をつくる学校」を合言葉にして4年目となる。あいさつが地域にひびいているかがそのバロメーターになるが、「子どもから遠くに人を見かけたら大きな声をかけよう」の呼びかけに応える子どもが増えてきたことを喜んでいる。ただ安心はせず、ふだんの呼びかけを繰り返すことが子どもの習慣になるだろうと続けている。毎朝、原付バイクにまたがり、校区を巡回する私を見つけて、大きな声で呼びかけてくれることに感謝の気持ちでいっぱいである。遠くからあいさつできるのは、地域住民としての子どもができる特別の権利のように思えてならない。満面の笑顔で、手を振る子どもの住んでいる地域を子どもとともに生み出せる幸せを感じる。 さて、夢をつくる学校の子どもたちは夢作文を書き続けてきた。 昨年度からは学期ごとに夢作文を更新し、次の学年につないでいくように進めてきた。 将来の夢の実現のため、小学生の今、何を努力するのかを確かにする夢作文は、どんな大人にあこがれ、どんな未来の自分になっていきたいかを小学生の今意識することが大切だと考えている。夢があるから、今の自分がやらねばならないことやしんどい思いをしても続けるべきことを夢作文を書くことで意識することになる。学期ごとに更新するのは、節目節目にふり返り、夢と自分の今とを見つめ直すことになる。 入学してきた1年生は、毎日ひらかなの学習をしているので、夢作文の代わりに自分の夢を絵することを担任の先生が考えた。 掲示板に貼られた全員の絵には真ん中に主人公である「わたし」がいて、なりたい夢の自分が描かれている。 名前のそばに担任の先生が聞き取ったあこがれの仕事を書き添えている。重なる仕事もあるが実に多種多様である。ここに紹介する。 ![]() この多彩さにさまざまな大人が子どものあこがれの世界にいることがわかる。きっと、その仕事をしている人との出会いの中でその方の姿に魅力やあこがれをいだいているのであろう。夢をいだき、思い続けることで一歩ずつ夢に近づいていく。1年生も今はあこがれの大人の姿を仕事をしている人ととらえている。 それが、学年が上がるにつれて「人のために働ける大人」であったり、「人の命を救う大人」であったり、「人を喜ばせられる大人」であったり、「こつこつと創作に没頭する大人」であったりと、大切にしたい価値観や生き甲斐となるものが夢へと変化していく。このようなその時の自分が描く夢をイメージし、その夢に近づくために今できる努力を行動化し、習慣化させることで「胸をはる子ども」を育てたいと願っている。 (湖南市立菩提寺北小)
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