▼授業の言葉がある。「わかりましたか」「できましたか」「よろしいか」(教師)「いいです」「同じです」(子ども)等がある。子どもらしい言葉が溢れる授業にしたいと思う時がある。立場を変えて、教師が教えてもらう授業を実践した。

▼学習内容は、秋の言葉集め。コスモスやもみじ、すすきと知っている語句を次々と発表する。が、上手に説明はできるのだろうかという疑問がわいた。そこで思いついたのが「先生は知らないよ」。

▼語句をよく知っている子が、「柿もあるよ」と得意そうに発表する子。「おなじです」と答える子。そこで、「柿って、初めてきいたよ。お花ですか」と確かめる。笑いが起きる。「先生は、本当に知らないの」と念を押す。「知らないで教えて」と。

▼知らない先生に教えると張りきる子。「形は、丸くて、色は黄色」と説明をする。でっかい丸と色紙の黄色で分かったふりすると、口々に「違う」と。具体的な大きさを示し、何とか説明しようとする。困ったのは、「おじいちゃんの家の庭に柿の木がある」という説明。これを理解をするのに時間がかかった。この授業では「わかりましたか」と問い、「はい」と答えるやりとりのような渇いた言葉はなかった。

▼「先生は知らない」と言い張ると教えたがりやの低学年の子には意欲的に学習に取り組む授業づくりの糸口になる。(吉永幸司)