豆太を応援する言葉を見つけよう
西 村 嘉 人

 「それでいいんだよ。豆太」
 わたしはゆうきが出るのはたまにでいいと思います。
 じさまがおなかがいたいといって、びっくりしてこわくなるのもいいと思います。豆太は、さいしょはこわくてじさまにとびついた。だけどじさまはたたみにころげてますますうなるだけ。となって、豆太は「医者様よばなくちゃ」っと言って走るのはすごいと思って、「それでいいんだよ、豆太」をおうえんの言葉にしました。(以下略)

 学習の最後に書いた「豆太を応援する言葉を見つけよう」の一部である。
 「モチモチの木」の学習では、各場面の豆太の心情や様子を想像する手がかりになる文や言葉を見つけながら、想像した豆太像を「○○豆太」と表す学習活動を進めてきた。
 自分で読み進める学習に面白みを感じるようになった子どもたちがグループで、或いは一人で「○○豆太」見つけを楽しんだ。

oこわがり豆太
o間だけいばる豆太
oあきらめ豆太
 「霜月二十日のばん」までの豆太像は、表した言葉以上に豆太への「頑張れ」の思いが子どもたちから続いた。
oなくなく走る豆太
oじさまのために走る豆太
o山の神様の祭りを見た豆太
 「豆太は見た」では、夜のこわさを思う間もなく走り出した豆太の姿やどんなにこわくて痛くてもじさまを助けたい一心だった豆太の心情を思いやる発言が続いた。

 子どもたちの声が分かれたのは最後の場面である。
 「どうしてもどってしまうの?」「せっかくゆうきが出たのに」「勇気はいつもいらない」「いつもの豆太でいい」
 珍しく本文を何度も見返しながら、初めの場面の豆太と最後の場面の豆太は絶対に違うから、これでいいんだと主張する子、一人で医者様を呼びに行って、山の神様の祭りも見られたんだから、しっかりしてほしい、と豆太の日常の成長した姿を期待する子。聞いていて楽しくなってきた。

 子どもたちの豆太への思いを綴らせたくなって冒頭の「豆太を応援する言葉見つけ」を学習のまとめに出した。多くの子どもが、豆太の勇気と行動の素晴らしさをたたえながら、「これでいい」「だからもうちょっと頑張れ」とまとめた。国語の学習時間が残り少なくなったのが寂しい。
(彦根市立高宮小)