▼教材「すがたをかえる大豆」(国分牧衛・3年下・光村図書)はダイズやイネの研究者である筆者が、読者に読みたい気持ちを持たせるように工夫して書いた説明文。内容は小学生に理解できるよう具体的である。大豆をおいしく食べる工夫が「すがたを変える」という題名になり文章につながっている。「いちばん分かりやすいのは」ということで、「その形のまま」から始まる。「かたちを変える」を気にして読むと、「粉にする」「ちがう食品する」というのも興味深い叙述である。

▼若い先生の授業で、大体の内容を理解し、文章の分かりやすさを確認するために、一番初めに「豆腐にしなかったのはどうしてでしょう」という問いかけをされた、多くの子は「いちばんわかりやすいのは」という根拠をあげていた。授業はそのように進もうとしたとき、「豆腐のほうがわかりやすい」と主張する子がいた。その理由は、「ぼくの家は、豆腐がだいすきだから」とのこと、さらに刺激されて「納豆を食べている」という子も。急に、食卓談義。困ったのは先生。元気になったのは子ども。授業は、時々、予想もしないところで子どもががんばる。そして、そのがんばりが他の子の心を動かし詳しく読むことへ盛り上がる。子どもの親しみや知っているを根拠にするとどんな文章になるのだろうと聞いていた。若い先生の問いが子どもを動かした時間だった。(吉永幸司)