巻頭言
輝く瞳のため、熱き思いを胸に
永井あや子

 ガボンという国をご存知でしょうか?黄熱病の予防接種をしなければ出入国もできない。シュバイツアーがいた国、ゴリラの生息地でもある。息子は、青年海外隊隊員として赴任していた。私は、どんな所で任務に就いているのか知りたくなり、家族と視察の旅に出ることにした。
 十数時間飛行機に乗り、中継地アジスアベバに到着。寒い。日本人は珍しいのか視線が向けられる。
 ガボンの首都リービルブルは、高層ビルが立ち並ぶ都会であった。

 隊員の若者たちが歓迎会を開いてくれた。柔道の普及、IT関係、看護師、栄養、農業、医師(エイズ対策)など様々な分野で赴任している。息子の任地は、カメルーンとの国境近く、ジャングルを抜けさらに奥地へ行かねばならない。オイエムの町に派遣されている隊員も「日本語が話せる」と歓迎会を開いてくれた。とりわけ教育分野の隊員は、私が教育関係と知って熱く語ってくれた。情操教育という概念が無いので、音楽、図工、体育等の教科がない。教師は、今だに棒を持って授業をしている。「体育の授業にハイヒールで来てできなかった子をそのハイヒールで蹴るんですよ。考えられますか。」「なかなか、受け入れてもらえないんです。」文化の違いの壁にぶつかり、もどかしさや悔しさを語っていた。それでも遥かアフリカの地に情操教育を根付かせたいという気持ちを持って活動している若者に心を強く揺さぶられた。
 小学校を訪問したが、夏休みで閉まっていた。校庭でサッカーに興じる子どもたちがいた。靴は、なく裸足だ。しかしキラキラした瞳で嬉々として遊んでいる姿は同じだと感じた。地球上、どんな環境であっても その場その場で精一杯生きていこうとしている一人ひとりの尊さに胸打たれた。視察どころか、感動多き旅になった。

 「校長先生!」
 遠くから手を振って駆け寄ってくる子どもたちの姿に喜びをかみ締めている。退職まで残りわずかとなった私であるが、ガボンでの熱い気持ちを忘れず、児童の笑顔のために頑張りたいと思っている。
そして、共に力を合わせた素晴らしい教職員や保護者や地域の方々、私を育てていただいたすべての方に対して感謝の気持ちでいっぱいである。

 最後に 高槻市立柳川小学校校長時代より、吉永幸司先生に国語のご指導を賜り、また、このような機会をお与えいただきましたこと感謝に耐えません。ありがとうございました。
(高槻市立桃園小学校長)