提案する文章について話し合おう
北 川 雅 士

 12月26日・27日に愛知県刈谷市総合文化センターで開催された第2回国語実践研究会に参加した。大会テーマは「生きる力を支える言葉」を育む国語の授業。今回はこの全国規模での研究会の場で自分の実践を発表するという機会を与えていただいた。

 実践したのは「明日をつくるわたしたち」(光村図書出版5年)。それぞれが自分の提案を持ち寄り,話し合いながらグループ提案の話題を決定していく中で、役割に応じた参加の方法、言葉づかい、そして「協議」の仕方について学ぶ。そのために「互いの意見を大事にしながら一つの意見にまとめる」ということを大切にしながら話し合いが進められるようにしていきたいと考え、以下の3つを実践の工夫ポイントとして考え、学習を進めた。

(1) 「協議」とはどのようなものか、教材文とモデルの提示でイメージ
 教材文から「協議」とはどのようなものなのかをイメージするだけでなく、実際の「協議」のモデルを示す。
(2) より実践的なテーマについて提案する。
 総合的な学習の時間で取り組む環境学習の内容と結び付け,「地球温暖化を防ぐために自分たちに何ができるか」を提案し,協議することで目的意識・意欲をもたせ,話し合いのゴールを明確にしていく。
(3) アドバイスポイントを明確にしたペアでのミニレッスンを行う。
 話し合いを行う前に、ペアでミニレッスンをするなどして,協議する際の尋ね方,意見の言い方などを体験を通して学ぶ時間を設ける。

 今回の授業実践では、協議について重点を置いて学習を進めた。教材文だけでなく、実際の話し合いの様子を聞くことで協議の進め方を確認し、ミニレッスンで自分の意見の話し方を確認した。協議のモデルを聞いたことで、協議についての戸惑いや不安は児童には見られなかったが、ミニレッスンやワークシートなどで話し方モデルを示しすぎたことで児童がワークシートを見ながら話す姿が多くなってしまった。
 「話す・聞く」の分科会でも話題の中心となったのは、「話す・聞く」の学習で、モデルの提示をどのように行えばよいかという点であった。日常の言語活動における積み上げや、他教科、特別活動との連携も重要になるということに加え、「様々な考えをひとつにまとめていく」ということは、モデルを示して、学習するだけで身に付けられるものではなく、何度も経験していくことが大切であるということも学ぶことができた。
 また、「話す・聞く」の学習においての評価についてもいくつかの意見をいただいた。今回の実践では、グループにボイスレコーダーを置き、協議を録音することで聞き直して評価をしていくことができた。このように、様々な機器を活用して声を残していくことで、一人一人の姿を丁寧に評価することにつなげられると感じた。また、教師だけでなく、録音したものをグループごとに聞き直すことで、子供たちの自己評価につなげ、次の話し合いに生かしていくことができるということも教えていただいた。

 今回、全国の先生方の前での提案ということで不安もあったが、毎時間の授業記録や、協議の記録など評価をいただき、他府県の先生からも声をかけていただいた。この会で学んだことを生かし、次の実践につなげていきたいと思う。
(彦根市立城南小)