予習の効果
杉 澤 周 一

 東近江市教育研究所主催の学力向上プロジェクトチームに協力している。若手教員が研究授業を公開し研究協議を重ねている。
 このチームの共通実践テーマとして「予習」を掲げている。家庭学習で、次時の内容にかかる共通の課題で学習させた場合、次のような効果が期待できるのではない かと考えて実践し検証している。

(1) 次時に時間的なゆとりができ 他の活動の幅を広げられる
 例えば、「めあて・自力解決・友だちと交流・まとめ」の展開の場合、「自力解決」の一部を予習として短縮か省略とし「交流」の活動時間を十分に取る。
 例:「ごんぎつね」の次時の中心発問…つぐないをしようと思った理由がわかる所を二つ見つけ線を引いてくる。
 本来は次時の自力解決開始時の学習活動。省略し、本時の場面を読み、線を引いた箇所のごんの気持ちをノートに書く活動から始め、その交流の時間を十分に取る。

(2) [関心・意欲・態度の喚起・高 揚,主体性を引き出せる
 予習により次時の開始時に、すでに次時の目標、内容、活動についてイメージ・見通しを個々に必然的に持つことになる。それは、同時に動機付けができ個々の学習機会の保障の土台ができていることでもある。次時の目標にかかる主たる学習活動の基礎情報(テキスト把握 自分の思い・考え)を持っており,子どもには学習者として居場所があることになる。安心や自信も付随している。
 事例:教室に入りにくかった子どもが予習を契機に関心・意欲・安心を持ち授業に参加し始めた。

(3)考えが広がり深まる
 同じ学習課題について、一度考え、夜を過ごして寝かせ、次時の授業で二度目として考えることにより、熟考の段階となり、思考の広がりや深まりにつながる。

(4) 学習の自立を育む
 家庭学習において、次時に授業の内容について、一人で共通の学習課題に向き合い考える(沈思黙考)学習機会となり、それが次時の学習活動につながっている。この一連のうちに思考・判断にかかる学習の自立(ひとり学習)を育むことになる。(ドリル学習との違い)
 予習を有効にするために、次の必要条件があると考える。
・どの子も自力でできる簡単な活動(助けを要せず一人でできる)
・短い時間でできる内容と量
・どの子にも学習方法がわかる。
・その学習の目的がわかる。(明日の学習場面とつながる)

 各教科においても類似の効果があると考えている。
(東近江市立八日市西小)